縦(前屈立ち)よりも横(四股立ち)
2016年09月29日 (木) | 編集 |
10月発売のJKFan12月号の特集は、中段突き改造計画です。以前から、日本人の中段突きはなかなか国際試合でポイントにならないという意見を聞きますし、私もそう思っていました。

日本人の中段突きは、なぜ取ってくれないのかを考え、どうすれば取れるかを解説しています。
下の写真は、改造前のフォームです。通常、日本の選手は99%このように前進しながら突いています。真ん中の写真が日本人の典型的な特徴です。前屈立ちをベースに突いています。
あえて若干遠い距離から突かせてみましたが、この距離だと突きが届いていません。
イラスト3a
イラスト3b
イラスト3c

次に改造後の写真です。明らかに改造後の方が距離が出ています。加えて身体が開いていないので、隙がなく失点の可能性も低いと思います。これは、四股立ちをベースに中段突きを作り、最終的にこのようなフォームになりました。
イラスト4a
イラスト4b
イラスト4c

人間は縦、つまり前に移動するよりも、横に移動する方が動きやすいのです。横に動きながら腰を切れば、突きがきれいに極まります。やはり、最も重要な部分は、真ん中の写真です。面白いことに動き始めから突きが極まるまでの時間は、両方ともほぼ同じです。
でも、距離は改造後の方が遠く、身体も開かない。

この突きを身につければ、中段突きが得意技になることを保証します。
 呼吸で組手がこんなに変わる
2016年09月09日 (金) | 編集 |
技を出すときに、呼吸を意識している人はいますか?
実は、呼吸を調節することで組手が劇的に変わるのです。

信じられないと思いますが、呼吸を工夫すると以下の効果が得られます。

・こちらが動いた時に相手の反応が遅れる。
・相手が動いた時にこちらの反応が早くなる。
・動き自体が早くなる。
・技によっては、威力が上がる。

実際に比べてみましょう。以下の写真は特に呼吸を意識せずに突いた場合です。相手は、来ると思ったときに手を上げてもらいます。5枚の写真は、0.1秒ごとに映像から写真を抜き出しました。
a
b
c
d
e
コマ送りで見ていくと、0.066秒後には相手は突くのを察知して、手を上げ始めています。今回は、ツーステップで突いていますが、ワンステップの動き始めに反応されていては、カウンターをもらってしまいますね。

では、次に呼吸を変えてやってみました。基本的に、最初のものと同じフォームで突いています。
1
2
3
4
5
驚いたことに、4コマ目でようやく反応しています。これは平均値で反応するまで0.22秒もかかっていたことになります。

ほぼ同じフォームなのに、呼吸を変えただけで相手の反応が極端に遅れる。もし、実戦でこれだけ相手の反応が遅れたら、面白いほど突きが入りますね。
これが空手の面白さです。スピードで勝負したら、いくら頑張っても自分のスピードは2倍にはなりません。でも、呼吸を工夫すると相手の反応が何倍も遅れます。

組手の動きをいくつか実験したものを、今月売りのJKFanに掲載します。興味のある人は、JKFan11月号を見てください。









 脱・根性論
2016年09月05日 (月) | 編集 |
「気持ちで打てるわけじゃないですからね。気持ちで打てるなら毎回打てますから。それなりのレベルの相手だったら技術で打たないとね。気持ちで打ったことは一度もないですよ」。

イチロー選手がマルチ安打を放った後のコメントです。さすがイチロー選手、コメントのいちいちが深いなぁ・・・、と感心しました。
果たして、この言葉の本当の意味を理解できる人は何人いるかな?と思いました。

思えば、過去に外国人の偉大な空手の王者のコメントで、1人として「気持ちで負けないようにしました。」「気力で勝ちました。」と言った人がいないのです。

彼らのコメントのほとんどが、「相手よりも考えた。」「頭脳ならば誰にも負けない自信がある。」等のコメントです。

井上康生監督率いる日本柔道が根性論を捨てて、リオオリンピックで成果を上げたのは記憶に新しいところです。
こういうコメントを真に理解して指導にあたりたいものです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160905-00000038-dal-spo
 世界がざわついてきた
2016年08月31日 (水) | 編集 |
今月、2020年のオリンピックに空手道が正式種目になり、世界中が随分とざわついてきました。
私の下にも、多くの国から指導依頼とコーチ依頼が来ています。オリンピック種目になって、各国の連盟の予算が数倍、もしくは10倍以上になっているのがわかります。

今後、日本も急速に変わっていくでしょうね。

世間の注目が大きく変わり、技術もこれまで以上に進化の度合いが増して行きます。私の専門は組織の運営ではなく技術分野なので、技術に関していうと、大きく進化すればするほど、変えなくてはいけないものと変えてはいけないものの仕分けが重要になってきます。

変わらなければ周囲からドンドン置いてけぼりになってしまう。しかし、変えてはいけないものはどんなにルールが変わり技術が進化しても守らなければならない。

仕分けができる指導者が今後、生き残っていくのではないでしょうか?

 「空手をするな」は、まさに空手そのもの
2016年07月29日 (金) | 編集 |
今月、タイランドオープンに行ってきました。大会の次の日に、アガイエフのセミナーがあり、それにも参加してきました。現在、世界で最も注目されている選手のことですから多くの参加者があり、内容も素晴らしいものでした。

何よりも、彼独自の技や戦いの考え方がふんだんに盛り込まれており、私自身大変勉強になりました。

彼のセミナー中、最も印象に残った言葉があります。あることをする前のアドバイスとして、「空手をするな」(No Karate)と言ったことです。普通に考えれば、空手のセミナーで空手をするなということは、「じゃあボクシングをするのか?伝統の空手の技術は使うなということか?」などと、日本だったら捉えられてしまうのではないかと思いました。

しかし、それを聞いた瞬間、私は「これこそ空手だよな!さすがわかっていらっしゃる。」と感心しました。空手をするながなぜ空手なのか?少々性格がひねくれていないとわからないでしょう。
なぜならば、彼は空手そのものをするなと言ったのではなく、固定観念を持つなと言ったのです。
「空手はこうなくてはいけない」という固定観念がどれだけ勝利を遠ざけてしまうか、彼はよくわかっているのです。

彼のこの考え方は、空手からKARATEになったというよりも、私はむしろ沖縄の空手そのものだなと思ったのです。沖縄で、ある先生から教えていただいたことですが、「例えば、巻き藁というと土に板を埋め込んで藁を巻いたもの、それを一本一本魂を込めて突きこむものだと本土の人間は思っているが、それは巻き藁鍛錬のほんの一部だ。一口に巻き藁と言っても色々な種類があって、いろいろな稽古の方法がある。」とおっしゃっていました。

別の沖縄出身の先生のご自宅を訪問し、お話を聞いた時に、角材に藁を巻いたものを持ってこられ、「私はこれで手を鍛えている。」と言い、実際に見せてもらいました。それは巻き藁を突きこむのではなく、目にもとまらぬ速さで連続して打つものでした。

空手の技も同じで、「これは受けだ。」「運足はすり足でなければならない。」「しっかりと狙って、一撃で相手を倒せ。」等、決めつけてしまうとその技のポテンシャルの一部しか応用できなくなってしまいます。

私は、以前「空手のすばらしさは何にでも応用できる汎用性にある。」とこのブログに書きました。ある意味、「実戦に使えればそれは空手である」ともいえるのだと思います。もちろん何でもかんでも良いというわけではなく、空手であることの条件は存在しますが、「こうでなければならない」という決めつけは大変危険です。

私は、アガイエフのNo Karateを聞いて、伝統的な空手と現在の競技空手がつながったと思いました。

彼の動きはまるで、ビデオの早送りを観ているようなスピードでした。私と彼が同じ人間であることが信じられない思いで見ていましたが、一つだけ彼に勝っている点を発見しました。英語は私の方がうまいという点です。

agahev