スランプ
2012年09月24日 (月) | 編集 |
全少で優勝した選手が直後にスランプに陥ることがよくあります。

自分では、何も変わったつもりはなく、今までと同じように戦っているのに、なぜか勝てなくなる。周囲も本人も「いったいどうしちゃったの?」と、不思議で仕方がない。

私は、そういった多くの事例を観てきたので、勝ち続けるのがどれほど大変なことかよく理解できます。

現在進行形でうちにもいます。昨年と今年の全少は、ある学年は2年連続でうちの生徒が優勝しました。昨年優勝した生徒は、優勝直後に全く勝てなくなり、もう一人がすぐに台頭し、その子が先月の全少で優勝しましたが、その子がやはりその後勝てなくなっているのです。

本人も保護者も、慢心するような人物ではありません。
しかし、何かが変わってしまうのです。

そうなった時に、まず何が必要か? これまで勝ち続けてきた勝因と、その後勝てなくなった敗因を分析すれば、今後どうすれば良いか答えはすぐに出ると思います。


まず、体力的には短期間のことですから変わりはないはずです。問題は、精神面と技術面の変化です。人間は生ものですから技は常に変化しています。これまで通用してきた技がある時を境に通用しなくなった。
今までは楽に届いていた突きが、なぜか届かなくなった等、突然何かが狂い始めるのです。

空手に限らず、すべての競技は突然の狂いで勝てなくなるケースが多いと思います。
言ってみれば、レベルの低い選手にはスランプなどというものは無縁ですから、スランプに悩むのは一流の特権でもあるわけです。
しかし、注目されている立場ですから、これまで以上に精神的にきついのは確かでしょう。


では、その何かを説明してゆきましょう。まず、多くの一流選手には勝ちパターンがあります。そのパターンにはまると必ず勝つ。しかし、まだまだ技術的に未熟な選手はその勝ちパターンは一時的なものでずっと続くわけではありません。
しかし、大舞台でそのパターンが決まれば決まるほど、微妙な修正が効かなくなってきます。そこが第一の落とし穴です。

人間というのは、一番良い時の技や身体の状態をいつまでも覚えています。だから、勝ち続けている時の感覚で調子が落ちた時に戦ってはいけません。

チャレンジジャーでいた時には、必死に無心で戦っていたのが、ある技やある作戦が当たりに当たると、それに頼る傾向が強くなります。それは本当に本人さえも自覚できないほど微妙なものなのです。

例えば、突きからの蹴りが得意で、突きが決まらなければすぐに蹴って1本を獲れる選手が、大舞台で何度も何度も蹴りで得点すると、同じコンビネーションを使っていても無意識のうちに本気で突きでポイントを取りにいかずに、蹴りに頼ってしまう。
これまでは本気で突こうとしているから相手は突きに意識が行って蹴りが決まったのに、突きが本気でなければ相手はそれほど脅威に感じません。

また、経験を積んで技が多彩になることも要注意です。それまでは限られたパターンで必死にやってきたのが、パターンが増えることで本人に余裕が生まれる。その余裕が悪い方向に行くと気の緩みにつながってきます。



ダッキングも近年流行り始めてきました。実はこのダッキングも要注意なのです。ダッキングは相手の突きを楽に避けることができます。それ自体は、悪い事ではないのですが、避けることが楽だから避け続けてしまうことがあります。

すると、相手は何度も自分が先に攻め、相手は避けてくれる。その間、カウンターが来ないから精神的に優位に立ち、攻撃にリズムが生まれ距離も合ってくるという好循環が生じてきます。

実は、うちの生徒がまさにこれで勝てなくなってしまっています。まさか避けるのがうまくなったから勝てなくなったなんて、本人は夢にも思わないでしょう。
しかし、私は「以前なら、ここは避けるだけでなくカウンターを狙いにいっていたな」と感じました。これは相手の気持ちになって考えればすぐに分かることです。

ただ、ダッキングそのものが悪いわけではないのです。要は使い方なのです。例えば、自分よりも格上の選手と対戦し、とてもまともに戦って勝てる可能性はほとんどない場合、ダッキングで攻撃を避け続けるのも一つの手です。これまでは楽にポイントを取ってきたのに、自分の攻撃がかわされているうちに、距離とタイミングが狂ってしまい、まったくポイントが取れなくなってしまうことがあります。


では、スランプに陥った時にはどうすればいいのでしょうか?私は世で言われているとおり、一度原点に立ち戻って考えることが最重要だと思います。

今まで勝ってきた延長でものを考えても、答えは見つかりません。最も良い時のイメージで今後を考えることは必要ありません。
それよりも、一度自分のスタイルをリセットして作り直すことが必要だと思います。

蹴りが得意な選手は蹴りを封印する。ダッキングが多くなってきたらダッキングを一切しない。刻み突きが得意な選手は、刻み突きを封印する。

最も必要なことは、技の一つ一つをこれまで以上に磨くことを心掛けるべきではないでしょうか。技自体を一段ランクアップさせるようひたすら基本を行う。

月並みになってしまいますが、やはり基本に立ち戻ることが確実にスランプを脱する方法だと思います。



また、勝ち続けている時は指導者が変えたくても変えることはできませんが、負けた時こそ自分を変える大きなチャンスです。だから、負けた時に落ち込んでモチベーションの下がる選手はダメなのです。

負けた時にこそ必死に、しかも地道に努力を続けるかどうかで、再び頂点に立てるか、このまま転落するかの分かれ目になるはずです。


しかし、小中学生のうちは、自分を追い詰めないよう気楽にやることが大事でもあります。勝っても負けても深刻にならないことが一番だと思います。
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コメント
この記事へのコメント
スランプ
うちの娘も正にそれです。
アディダス カップの後、スランプになっています。
(まだまだ全然一流には程遠いですが、、、。(汗))

アディダスでは逆突きで勝ったので、
逆突きに頼った試合ばかりするようになってしまいます。

自分でも分かっているようですが、特に強い相手とやると、
気持に余裕がなくなってよりその傾向が強くなる感じです。

練習では上段蹴りも出せるのに、試合になると出なくなります。

アディダスで形で優勝、組手で準優勝した男の子も、
今スランプみたいです。
娘とは反対で、上段蹴りばかりを出して手技が殆ど出ません。
その子の逆突きだって十分速いのですが。。。

子供たちが月井先生のセミナーでやった「膝タッチ」ゲームが大好きなので、
上段蹴り練習の為に、膝タッチ+上段蹴り(突きは禁止)ゲームを
時間がある時によくやっています。
(とても楽しいらしく、もう止めなよ、というまでいつまででもやります。(笑))

少しずつですが、上段蹴りが身についてきたかな~という感じです。
先月の試合でもまだ上段蹴りでませんでしたが、
もうちょっと続けて体が勝手に動くくらいになれば、
出てくるかな~と期待していますが、、、どうかな???

昨日12歳以上の試合がありまして、
フィリピンのアディダス カップに日本チームも来るとアナウンスされ、
更には月井先生のセミナーも行われるとあって、
会場のみんなが喜んでいました。
みんなとても楽しみにしています。
2012/09/24(Mon) 09:08 | URL  | Sachiko #-[ 編集]
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