新ルールでどう変わるのか?
2012年07月09日 (月) | 編集 |
本日は、SayOss!Vol.12in東京合同練習会で、約280名の選手の参加して練習試合が行われ、最後に新ルールの講習会が行われました。

WKFレフリーのゴルバニ先生による新ルールの説明の後、選抜された選手が試合を行いました。

試合の最中、私がマイクで試合の解説を行いましたが、特に強調したのは2名のジャッジが旗を出さなければポイントにならないということで、突きによるポイントが極端に少なかった点です。

数年前からJKFan誌上で、日本人の中段突きがポイントになりにくいことに警鐘を鳴らしていましたが、この新ルールの下では、さらにそれが加速された感があります。

5月末に行われた東アジア大会を観戦された方から、「なんで、日本人の突き(特に中段)はポイントにならないのですか?」と訊かれました。
東アジア大会では日本人というよりも、全体的に突きによるポイントが少なかったのではないでしょうか?


今回、新ルールによる試合を行ってくれたのは、各道場のトップクラスの選手たちです。中には何名も日本のトップレベルの選手がいました。
その選手たちの突きが、特に中段突きがなかなかポイントにならない。

多くは、蹴りや投げで3ポイントは取れるが、突きで1ポイントを取ることができないという試合でした。


このルールで2名以上のジャッジに旗を上げさせるには、本当にきれいに技が決まらなければならないのです。そうなると、基本がどれだけ仕上がっていて、強い技を出せるかが特に重要になってきます。



今日、新ルールの講習前にゴルバニ先生と雑談した際にも、私はほぼ全員が足をドンドン鳴らしているのが気になって、私は

「こんなにドンドン鳴らして組手をするのは日本だけですね。」

と言いました。

小さい頃、それも幼児の頃から試合に明け暮れ、道場の練習が試合用の形と試合用の組手というメニューなのは、私たちが知っている限りでは日本だけです。
ゴルバニ先生の祖国のイランでも、子供のうちから競技空手だけに特化することはありません。

先生も、

「子供がこんなに競技力が高いのは日本くらいです」

というほど競技に特化しているのですが、私は今後この競技力の高さがかえって仇にならないか心配しています。



というのも、今後の世界の空手界の流れでいくと、技の強さに加え残心もしっかりと取らなければならず、基本の出来が勝負を左右することになると思うからです。


多くの日本人が誤解していることがあります。


「日本人は基本をしっかりやるが、外国人はスポーツとして組手の選手は競技用の組手しかやらず、形の選手は競技としての形しかやらない。」

と多くの人が思っています。

私は、11年間海外に住み、30か国に渡る国を指導してきましたが、多くの国は形をしっかりと行い、分解を学び、形の中から応用できるものを組手に活かしています。


昨年末に来日し、現役時代は世界3連覇の偉業を達成し現在はスペインのナショナルコーチをしているエヘア氏は、

「私が子供の頃は、ひたすら基本ばかり行っていました。組手というのは3本組手の事で、自由組手はしたことがありません。」

と言っていました。

2月に来日し、今月も2度目の来日予定のギリシャのタナスも、

「道場では白帯と主に基本を行い、形を毎週行っています。」と言っていました。

だから、彼らは王者として君臨できるし、皆からの尊敬も集めることができるのです。



今の選手たちに言いたいことは、

「将来チャンピオンになりたかったら、基本を一所懸命やってください」

ということ。

道場の指導者に言いたいことは、

「今、試合に勝つことも大切ですが、基本をも形も組手もバランスよく行うことが、長い目で見た場合生徒をチャンピオンにする最も有効な方法です。」

ということです。


でも、この傾向って我々空手界に関わる人間は喜ばなければいけないと思うのです。基本がしっかりとできて、強い技しかポイントにならないのですから、運動能力よりも空手力が勝負を左右する時代になったということです。

本当にこれをラッキーと思い、しっかりと基本の稽古に励みたいですね。
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日本のお稽古とフィリピンのお稽古
日本のアディダスの試合の時に、
会場で静岡の選手のお母さんとたまたまお話しする機会がありました。

そこの道場は毎日数時間お稽古しているそうです。

フィリピン選手は組手で良い成績を残せた子が多かったので、
普段どのくらい練習しているのかと聞かれました。

週に2~3回程度で1日1時間半ですと答えると、
それでどうしてあんなに勝ててるの!?と驚いていました。

先生のおっしゃる通り、フィリピンの道場では準備運動や
ストレッチ、筋トレをみっちり時間をかけて行い、
その後に基本と形を少しやって終わりです。

普段は組手の練習はしていません。

そして、練習の途中にゲームなども取り入れています。

マット1面分を範囲として鬼ごっとをしたりすると、
狭くて逃げ場がないので皆ちょこまかフットワークを使って
そして全身を使って必死に逃げます。

道場でのお稽古でなくても、
毎日放課後外で近所の子供たちと体を使って遊んでいれば、
空手の試合で必要となってくる動きが無理なくできるようになると私も思うので、
なるべくそういう時間を子供達に与えています。

日本の選手の組手を見てみて、やはりとても強かったのですが、
いつも見ているフィリピンの選手の動きと比べると、
全体的に動きが小さくまとまってしまっているかなと思いました。
(別の言い方をすれば、無駄な動きがない、、、のかな?)

ただ、やはり3点取れるような大技がなかなか見られなかったような気がしました。
2012/07/10(Tue) 12:06 | URL  | さちこ #-[ 編集]
率直なコメントありがとうございます。海外の道場は空手道場なのに空手をしない。でも、そのおかげで、多様な動きを身に付け、判断力や駆け引き等を学びます。

「子供の仕事は遊ぶこと」これを指導者は忘れてはいけないと思います。例え習い事でも、遊びで様々なことを覚えていくのですから。
2012/07/10(Tue) 23:32 | URL  | 月井 新 #-[ 編集]
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