身体操作あれこれ その2
2012年06月30日 (土) | 編集 |
昨日に続き、海外と日本の身体の使い方編第2弾です。

既に書きましたが、大工道具でも世界のほとんどの国はノコギリは押すほうに刃が付いており、カンナも押す方に向かって刃が付いています。

おそらく、それらの道具を使用して何かを作ろうと思うと、日本人にとっては非常に扱いにくいのではないかと思います。

これは、大工道具に限った事ではなく、格技でも同様の現象が起きています。例えば、柔道は組んで相手を引き込んで崩すことが多いと思いますが、レスリングはタックル等押して崩すことが基本ではないかと思います。
印象的なのは、1996年のアトランタオリンピックで、日本人の優勝候補者の何名かが、朽木倒しという身体を相手に浴びせるようにして、脚を取って後ろに倒す奇襲戦法ともいえる技で1本を取られて敗退したことがあります。

その時に、解説の山口香氏だったと思いますが、「あれはおかしいですよ!」と何度も言っていたことを思い出します。日本人としては、「あれで1本はないだろう」というのが大方の意見だったでしょうが、外国人としては「朽木倒しという立派な柔道の技だし、倒れた時に背中が着いているのだから、1本は当然だ」と思っていたでしょう。

一般的には、日本人は引く力が強く、多くの外国人は押す力が強いです。ならば、日本人の得意分野で勝負するのは愚の骨頂だと思うのは当然ではないかと思います。
組まれたら日本人の引きが有利ならば、組まれないように掴まれないようにすれば良いと考えるのは、競技としては当然のことです。

「柔道は、組んでから始めるものだ」という、日本人の固定観念を逆手に取り、触れた瞬間に勝負をかけた当時の外国人選手の作戦の勝利と言えるでしょう。

参考のためにWikipediaで、朽木倒しを検索したら、下記のような説明がありました。

日本柔道においては双手刈りと並んでこの技を仕掛けて勝利してもいい評価は得られず、むしろ『美しくない』、『邪道な勝ち方』と罵倒されることもある。しかし1990年代以降、世界の柔道の主流になっており、日本人からすると柔道が柔道らしくない試合が多くなっている。前記のような事情があり、日本選手は対応に苦しんでおり、多くの敗因になっている。2009年のルール変更により使用が大きく制限された。詳しくは組み手_(柔道)を参照のこと。

この説明の中で、「日本人からすると柔道が柔道らしくない試合が多くなっている」という部分に大いに納得が行きました。押すことが当たり前の海外の人にとっては、どこが邪道なのかがわからないでしょう。



さて、空手に関してはどうでしょうか?この違いは蹴り方に顕著に表れていると思います。屈筋優位の日本人が裏回し蹴りや後ろ回し蹴りを出す時、伸ばした足を曲げて蹴ることが多いと思います。対して伸筋優位の外国人の蹴りは、まず脚を掻い込んでから伸ばして蹴るようにしています。

ただし、これは単純に屈筋優位と伸筋優位という比較のみではなく、外国人も蹴る前に脚をたたむのは屈筋ですから、腸腰筋をはじめ体幹が強いゆえにこういった蹴りが可能となるということも言えると思います。


突き方も微妙に異なります。外国人の突きは拳を放り投げるように突いています。肩も逆半身になるほど入れるので、日本人からすると流れていると思うかもしれませんが、彼らとしてはそれが普通なのです。日本人も海外に生まれ育ち、共通の身体感覚を持てば同じ程度のことはできるはずです。

その証拠に、海外で生まれ育った日本人選手のそれは、明らかに伸筋優位の身体操作になっているのです。



近年、日本人の中段突きが弱いという理由で、ポイントになりにくくなっています。それは、実際に弱いということよりもむしろ、伸筋優位の民族から見れば、屈筋優位の日本人の突き方が感覚的に理解できないという理由が大きいのではないかと思っています。


これは、私が経験的に知る限りでは、アジアと欧米という区分けではなく、すでに朝鮮半島から西はほとんどすべて伸筋優位の身体操作になっています。。

その証拠に、テコンドーの蹴りは明らかに伸筋優位です。


このような分野での研究を進めて行かないと、日本の競技空手は、海外の人たちに理解しにくいものになって行き、ハンディを背負って戦う度合いが増していくような気がします。
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