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 教育の危機
2013年12月04日 (水) | 編集 |
私は今、日本の危機を痛切に感じています。それは中国や韓国との間の東アジア問題ではなく、天災でもなく、空手のことでもありません。

日本人の学力の低下についてです。40年前は某首相が「日本の知的水準は世界一」と言い、世界中から非難を浴びましたが、今同じことを言っても、世界は「ハハハッ、面白い冗談だ!」と一笑に臥すでしょう。

空手を教えていても1年経っても帯の結び方が出来ない子、初心者の形を全く覚えない子が多くなりました。

さて、こんな私が勉強云々なんて言えるのも、海外の人たちに空手を指導してきたからなのです。高校や大学に空手の特待で入れる国なんて、日本くらいです。勉強での特待はあっても、空手での特待なんて私は海外では聞いたことがありません。


私は、フィリピンで7年間ナショナルコーチをしていましたが、当時の選手たちは練習の合間の10分間でもノートを開き勉強していましたし、WKF世界大会の会場でも帰ったらすぐに試験があると、自国の選手が試合をしていない時は勉強をしていた選手がいます。もちろん、私はそれを許可しました。
当時、ナショナルチームの選手たちは、学生は勉強、社会人は毎日の残業で忙しく、週3回それも朝の5時から7時まで練習をしていました。それしか時間が取れなかったのです。

その中で、「世界でメダルを獲れ、アジア王者を作れ。そのために外国人のコーチのお前を採用したんだ。」と言われました。実際、2度目に呼ばれた時は、世界大会まであと5か月しかありません。もう普通に空手をやっていたら絶対に勝てないと思い、陸上競技場で徹底した走り込みと徹底したイメージトレーニングを週3回行いました。

当然、「なんで空手のチームが空手をしないんだ。それなら日本人のお前を呼んだ意味がないだろう。」と強い批難も起き、選手の中からも「こんなんで本当に勝てるのか?」と疑問を呈する声が上がりました。
そこを、私を理解してくれている役員・選手が「今は、コーチを信じるしかないだろう。どっちみち俺たちは結果を出したことがないんだから。」とサポートしてくれたおかげで、WKF世界大会で初めてメダルを獲ることができました。
次の年のAKFアジア大会でも、日本に次ぐ11個のメダルを獲得できました。

これも、選手たちが皆頭が良く集中力があり、確かな目的意識を持って練習についてきてくれたおかげです。


今週になり、フィリピン在住で現地の方と結婚された日本人女性のアルフォルテさんとお子さんのさくらさんのことでやり取りをしているうちにますます日本の危機を感じるようになりました。

このアルフォルテさんの娘さんは、日本でいう小学校で飛び級をしました。本来ならば5年生なのですがクラス全体が6年生に上ったということです。加えて、AMAFI賞というものがあり、学力、リーダーシップ、スポーツ、音楽、アート、信仰心、語学力の全ての分野で秀でている卒業生に送られる賞があり、娘さんはその候補にノミネートされているというのです。


以下の文章は、アルフォルテさんのご許可をいただき、抜粋・掲載させていただきます。(青字がアルフォルテさんの文です)

さくらは週5日の空手の練習(内3日は片道2時間かけて本部道場)に加え、上級アートのクラスも週2日放課後に学校で受けており、山のような宿題と毎日の様にあるテストの勉強などを練習開始直前まで道場でこなすなどして今まで一生懸命両立させ、学校の成績もFirst Honor(成績トップクラス)をキープしており、学級委員長もして忙しくしています。

去年のマレーシアの大会は期末試験中だったので自分のiPadを持っていき、それこそ月井先生の知る以前のフィリピンの選手と同じく、試合会場でも自分と仲間の試合以外の時間はiPadで試験勉強をしながら、試合には集中して金メダルも2つ取ることができました。

飛行機の中でも空港でも、ずっとお勉強をしていました。



私が、日本の現状を嘆いたメールを送ったところ、下記の返信が来ました。


フィリピンの子供は、本当によくお勉強します。それから、親もしっかり教えています。

フィリピンは幼稚園から既に英語、算数、理科、フィリピノ語、宗教学と科目別にしっかり教えており、算数などは2桁までの足し算、引き算や分数まで習います。

うちも幼稚園のうちから毎日私が予習復習につきあい、間違いがゼロになるまで練習問題を何度も作ってやらせていました。

2年生くらいになると予習復習がだいたい一人でできるようになるので練習問題だけ作ってやらせ、4年生からは完全に一人でお勉強できるようになりました。

そうやって、親が最初に勉強の仕方を教えて勉強するくせをつけさせてあげれば、一人でもお勉強できるようになるのだと思います。

小さい頃からしっかり教えて良い成績が取れていれば、自然と「悪い点は取れない。」というプレッシャーが出てきますので、自主的にお勉強すると思います。

フィリピンは小学校でも成績が74以下ですと進級できませんので、みんな必死にお勉強します。

大学も、例えばラサール大学は学部の多いマンモス大学ですが、入学はできても卒業が難しく、毎年3分の1程度しか卒業できないらしく、土日も授業があるそうです。大学生は勉強 x 勉強です。

(中略)

テストも小学校1年から、全ての科目で答えを選択方式や答えを書くだけではなく、説明文で答えさせるようになったため、文章能力や自分の考えを伝える力が養われます。

日本はその点、

「小さな子供にこれはかわいそうだ。とてもこなせないだろう。落ちこぼれも出るかもしれない。」

などといって、フィリピンのようなプレッシャーをかけながら力を伸ばしていくカリキュラムは組めないのだと思います。

例えば今年度みんな飛び級しましたので1学年上のお勉強をしていますし、フィリピンは通常アメリカの2学年上くらいのレベルの勉強内容を教えていますが、それでも子どもたちはみんなついていっています。

大変は大変ですがやればできてしまうのに、日本はやらせていないんですね。
もちろん落ちこぼれも出てきますが、学校は有料で補習クラスを設けて教えています。

(先生達にも熱意があり、みんな誇りを持って仕事をしています。
優秀な先生には、毎年表彰もあります。)

空手の試合だって、プレッシャーがかかって緊張感を持って初めて出る底力や集中力というものがあると思います。

お勉強も同じだと思います。頑張らないでこなせるレベルに設定するのではなく、頑張ればこなせるレベルに設定しないと、世界から取り残されてしまいそうです。

が、保守的な日本ではいつまでもそんなやり方は適用されないのでしょうね。



私が先日インドに行った時に訪れたインターナショナルスクールでの空手の進級審査でも、素早く整列し高い集中力を持って試験に挑み、約250名全員を合格にしました。日本人ならば、数十人は不合格だったと思います。

インドネシアでも15年前は英語を話す人がほとんどおらず、私はインドネシア語と簡単な英語で指導していたのが、今では小学生にも英語だけで指導ができます。

以前、自分の生徒に対して、親に「勉強の時間を増やしてもダメです。この子には勉強のやり方をまず教えてあげないといけません」と言ったと書きました。

空手の時間を減らして、大会にも出ないで勉強の時間を増やして成績が上達する子もいますが、そもそもどうやって勉強すれば良いかわからない子に勉強の時間を増やしても成績は伸びません。

アルフォルテさんは、具体的な方法も書いてくれています。

長時間勉強させて40点...これでは子どももかわいそうですね。

私は、逆に「長時間のだらだら勉強はしちゃダメ。」と子供に言っています。
長時間になると集中力もなくなるし、だらだらしてしまって頭に入りません。
極端な話、何もやらなかったのと同じだと思います。ただ勉強嫌いになるだけ。。。

いつも、例えば数十ページ分のテスト範囲だとしたら、

「40分間でレビューしてね。後でちゃんと理解したか私が確認するから。」

と言ってレビューさせ、その後にテストをしてみて、わからないところがあると再び時間をあげてレビューさせ、その後に私がテスト...としています。

レビューさせるだけだとだらだら緊張感なくやってしまうので、制限時間を設定して、しかも後でテストがあると言っておくと、必死に覚えようとします。
さくらは今は私はテストしていませんが、自分で自分にプレッシャーを与えながらお勉強できるようになったみたいです。

さくらは2年生の2学期に空手を始め、その後練習でお勉強の時間が少し減りましたが、始めは少し大変でしたが私もさくら本人も短時間で効率良くお勉強する”コツ”を掴みましたので、成績はキープしていました。

4年生になって、本部道場に通い出したり国際大会や全国大会に出るようになって練習時間が急に増え、その分お勉強の時間が極端に減ってしまいましたが、より効果的にお勉強するコツをさくらが掴み、集中してお勉強できるので成績は変わっていません。

(中略)

私だけじゃなくて、フィリピンの親はみんな頑張っています。親が時間的にできない場合はやはり家庭教師を雇っています。

みんな85~90点台というテスト成績が普通で、70点台はかなり悪い感覚ですし、60点以下を取ると学校から「警告書」が渡されてしまいます。

日本の学校の評価も、「たいへんよい」「よい」「がんばりましょう」の3段階評価や5段階評価ですが、もっと評価を細かくしたり、学期毎に成績優秀者を表彰したりしてやる気を出させる方法を考えればいいのにと思います。




海外でも、勉強はできないがスポーツで頑張ってトップまで上りつめた選手はいます。でも、そのほとんどは貧困層に生まれ、勉強する機会に恵まれなかった人たちです。

日本のように、勉強する機会がふんだんにあるのに、まったく勉強をせずにスポーツだけやって、大人になってもローマ字で自分の名前も書けない一流選手がいるなんてのは、外国では聞いたことがありません。


私は、中学生になると中間試験、期末試験の点数を全員に聞きます。生徒同士が何点か教え合っている時、「〇〇ちゃん、5教科で350点だって!スゴ~イ!」と驚いていますが、上記にもあるように70点はかなり悪い点数です。


日本のお父さん・お母さん、学校の先生!(空手の先生も含みます) もっと、子供の教育に力を入れましょう!

教育とは、その字の如く「教え育む」ことです。教育は、人を作り、人が国の基盤となり、繁栄をもたらします。

「日本の子供たちよ、もっと勉強しなさい!勉強しないと私みたいになっちゃうぞ!」と、反面教師の私が叫びます。


因みに、下の写真と本文とは、何の関係もありません。

LULU.jpg


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