理由は、別なところにある
2013年11月19日 (火) | 編集 |
空手に限らず、人生すべてに同じことが言えると思うのですが、空手で例を挙げてみます。

ある生徒を指導していると、突然「勝てない原因はこれだ!」と感じることがあります。それはある瞬間に突然やってくるのです。

私は以前、「形で0―5で負けるのは技術の差、2-3で負けるのは心の差」だと書きました。その後、多くの方から「そのとおりですね」というご意見をいただきました。

でも、心の差とは単純に気持ちが弱いという意味だけではないのです。

そこである生徒の例を挙げて、気持ちが弱いのとは違う「心の差」を説明してみましょう。

競技は、審判が優劣を判定します。審判はあくまでも公平に判断しようと努力していますが、どうしても審判に好かれる選手と嫌われる選手が存在します。なぜならば、審判は機械ではなく人間だからです。

明らかに態度が悪いわけでもなく身なりもちゃんとしているのに、なぜか判定では勝ったと思ったのに、いつも2-3で負けてしまうという選手が実際にいるのです。


そういう選手は、普段の稽古の風景を観ていると理由がよく分かるのです。稽古はまじめにやっています。でも、他の生徒との交わりがないのです。年長者の場合、年少者の面倒を見ないのです。
そのクラス全体を仕切ろうとせず、数名の仲間だけで固まって、他の生徒が何をしていようと関心がない。
試合会場でも、他者の応援をほとんどしない。

つまり、自分が他人に関心がないから、他人も自分に関心がない。その延長線上に審判もその選手を評価しないということなのです。
常に周囲の人間に関心があり、他人の面倒を見つつ見られつの関係を保てる子は、逆に3-2で勝てる確率が高い。

私は、そういう審判に好かれない生徒には、「みんなを仕切ってまとめなさい」と言いますが、なかなかやりません。出来れば最初からやっていますからね。

本当に、偶然とは思えないくらい形で負ける時は2-3の生徒がいますが、その生徒は面白いくらい他人に興味がないのです。

私はよく、こういう状況時に「審判を敵に回しているな」という表現を使います。
では、コートに入って審判にいちいち挨拶をして、終ったらコートで「ありがとうございました」と言えば良いのか?審判に好かれるため審判に話しかけて自分を覚えてもらえば良いのかなんていうのは、とんでもない勘違いです。
そんな薄っぺらなことをしても、逆に審判に見抜かれてしまいます。

形で2-3の負けを3-2の勝ちにするには、常に他人に興味を持ち、面倒を見て、誰とでも良好な関係を保つことが最良の方法です。常に集団を仕切り、良いリーダーとなっている選手は、形も組手も僅差で勝てる。
組手でも1ポイント負けていても終盤に追いついて逆転できるなんてことがよく起こります。

これに関連して、優秀な選手でどの大会でも優勝するが、5-0で勝つことが極端に少ない選手というのも存在します。勝ってもなぜか4-1が多いのです。こういう選手の傾向は、好き嫌いがはっきりしている性格の選手に多いと感じます。

友達も、好きな子と嫌いな子をハッキリと分ける。こんな性格の生徒は、試合でも審判全員に評価されず、ひとりは反対に上げる審判がいますね。


また、先日ある選手にアドバイスしたことです。組手で「あの態度は審判を敵に回すからやめなさい」と言いました。

まずは、コートに入る時、または審判の止めがかかり、開始線に戻る時に姿勢の悪い点です。下を向いてがに股で歩く選手は、審判は無意識のうちに嫌います。

そして、開始線に戻るのが遅い点です。一方の選手がいつも早く開始戦に戻り、審判も待っているのにユックリと開始戦に戻ると、審判のリズムが狂ってきます。そうなるとこれも無意識のうちにその選手に不利な判定をする確率が増してしまいます。


実際に審判のことを置いといても、開始線に戻るのが遅い選手は、集中するのに時間がかかる傾向があります。組み合って審判の止めがかかり、離れた時に相手よりも構えるのが遅い選手は、相手よりも集中する時間が遅いということです。


私は指導者として、開始戦に戻るのが遅い選手や構えるのが遅い選手との対戦の時には、「続けてはじめ!から、2秒以内で攻撃しなさい」とアドバイスします。

これは、私が経験上分かったことで、大会でポイントが決まった時の状況を調べて確信できたことですが、開始から2秒以内で技を出した場合、先に攻撃した方が8割近い確率でポイントを取ります。
5秒以内に技を出すと、やはり先に攻撃した方が6割近い確率でポイントを取っています。
それが5秒を過ぎると、待ちでカウンターを出した方がポイントになる確率の方が上回ります。

つまり、通常の選手は構えてから集中力がMAXになるまでに5秒くらいかかるということではないかと思うのです。これが一流といわれる選手になると、5秒以内でもカウンターでポイントを取れるのです。
逆に、構えるのが遅い選手は、集中がMAXになるのに時間がかかるわけですから、開始早々に攻撃するとポイントを楽に取れるのです。

この場合、常に相手よりも早く構える習慣をつけることで勝率は随分上がるはずです。
整列でもそうですね。「集合」と言われたら、誰よりも早く並び、他の人間に指示を出すくらいの気持ちがあれば、成績は自ずとついてくるはずです。

こんな感じで、私は自分の生徒や他の生徒を観ているので、アドバイスが技とは全然関係ない場合も時にあります。

「もっと、友達と遊びなさい。」
「常に大きな声を出す習慣を持ちなさい。」
「整列を早くしなさい。」
「すぐに下を向く癖を直しなさい」等、

そういえば、整列が遅いのも、集中するのが遅いから。
真っ直ぐならべないのも、周囲とのバランスが取れていないから。
右と左の距離が異なるのも、空間全体を把握していないのが原因です。

ですから、極論を言えば整列の傾向だけで、その生徒の本質が分かってしまい、実際の動きを見ないでもその選手の課題を見つけることができるものです。
スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2013/11/19(Tue) 23:52 |   |  #[ 編集]
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック