選手の資質
2013年05月20日 (月) | 編集 |
一作日、某強豪校に生徒4名を連れて行ってきました。今年になり、高校を訪問する機会が例年よりも増えています。
なぜ、今年高校に行く機会が多くなったのかというと、今年は中学2・3年生に高校で空手をやりたいという生徒が多いからです。


こんな時は、他の子も連れて行って練習に加えていただくのですが、保護者と一緒に観るので保護者に解説をしながら指導者はどこを見ているかを説明できるので助かります。
私の普段考えていることを理解いただくのにもってこいの機会でした。


今回説明するのは、選手の資質についてです。まず、最初に言っておかなければいけないのは、資質があるからこの選手は良い、資質がないから悪い、という目先の勝負にこだわった内容ではないということをまず最初に言っておきます。
これは、学校でも将来仕事についても、このような傾向は一生付きまといます。
ダメならば、一生ダメなのではなく、そこを直せば良くなるわけです。



では、某校での見学の話に戻ります。
基本練習の時、面白いことがわかりました。私は、高校の部員は数名を除きほとんど名前もわかりません。でも、練習を観ていると、レギュラーの者とそうでない者、今後伸びる者と伸びない者がよく分かるのです。私は横に座っている保護者に、

「構えて!」と言われ、構えた時の様子を見てください。何人かは逆突きをした後、いったん構えを解くでしょう。または、キョロキョロしますね。こういう傾向の選手は集中力がいまいちです。一度だけでなく毎回やりますよ。ほら、いつも構えを解くでしょう。途中、指導者のアドバイスを聞く時もそういう生徒は必ず手をさげて、膝を伸ばして立ってしまう。」

「5~6人は必ず構えた後に動きますよね。うちの生徒でいうと、○○はピタッと構えて目線もまっすぐで瞬きもしない。集中力がある証拠です。でも、○○はすぐに構えを解いてキョロキョロするでしょう。」

「こういう何気ない部分が、試合の最も大事な場面で致命的に出ちゃうんです。」

と解説します。

もちろん、これだけで生徒のすべてを理解することはできません。しかし、こういうチェックポイントが無数にあり、それで生徒のだいたいの傾向を把握することができるわけです。

選手の実力・体調等に加え、普段の習慣や癖を総合的に判断すれば、7~8割の確率で試合のシュミレーションを立てることができます。


また、組手で一方が攻めてもう一方が避け続けるメニューの時に、うちのひとりの生徒が随分と先輩の突きを食らっていました。でも、大きく避けすぎていては、避けるだけの練習になり、その後の反撃につなげることができません。彼は、先輩の突きを食らい続けていながらもしっかりと突きを見切ろうとしていたのです。おそらく、口の中は出血していたでしょう。でも、当てられる事を怖がらず、しっかりと突きを見続けていた彼を見て、「こいつは強くなって当然だな」と納得しました。

私がもしも彼と同じ小学生で高校生の先輩の突きを食らい続けていたら、おそらく涙目になっていたでしょう。

そして、彼は攻守交代の時、指導者の「はじめ!」の声で、誰よりも早く攻めていました。毎回一番早く反応していたのです。「はじめ!」と聞いた瞬間にはもう相手を攻めている。クタクタになってもこれだけ集中力があるというのは凄いことです。


選手の中に、「勝負、はじめ!」の審判の声を聞いた瞬間にいつでも攻撃できるように集中力がMAXになる選手がいます。反面、構えていますが「いつでも行ける」まではいかず、なんとなく構えて徐々に集中力が増してくる選手がいます。
後者の選手は、今の延長戦も再試合もないルールの下では明らかに不利になってしまいます。試合開始と共に相手のペースで試合が進むことがありますが、集中力に欠ける選手は、途中で自分に流れを引き込むことができず、ズルズルと相手の流れで最後まで行ってしまうものです。

また、組手をしていて、「やめ!」がかかった時にすぐに構えを解いて目を下にやる生徒は、勝負への執着心が足りない傾向があります。このような傾向の生徒は、勝負を早く諦める傾向があるので、ポイントをリードされるとそのまま終了してしまうことが多いものです。

普段の練習から「やめ!」の後も構えを解かずに相手を1秒でも見続けている生徒は、粘り強い試合をします。最後の最後まで勝負を諦めません。



選手を評価する時、動きがいいか悪いかは、素人でも分かる。今強いか弱いかは試合をすれば分かる。でも、今後どれだけ伸びるか、プレッシャーのかかった大一番で頼りになるかどうかは、技や運動能力そのものよりも、ここに書いたような何気ない仕草や癖を観た方がよく分かるのです。


もちろん、集中力のない生徒に対して、指導者はどうすれば集中力が増すかを指導しなければなりませんが、やはりそれには保護者の協力が絶対に必要なのです。
例えば、試験の勉強をする時に机に座って1時間ゲームをやってその後に勉強を始めたかと思ったら、30分で飽きてテレビを観てしまう、なんて生活習慣の子は、空手でいくら頑張っても集中力はつきません。

このように空手で選手が勝てるように指導することは、大きく言えば社会に出ても立派な社会の一員として生きて行くことを指導することだと思っています。
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