覚え方を覚えなさい
2015年06月23日 (火) | 編集 |
今回の記事は、6月1日の記事と相当部分重複する内容です。

指導をしていて、すぐに覚えてしまう生徒と、いつまでも覚えない生徒の差は、覚え方を知っているか知らないかの差です。例えば、形の稽古をしていていつも同じところを間違える子がいます。一度で覚える子は、覚え方を知っているのです。

まず、稽古の中で法則性を見つけます。形も基本的には左右対称で、回って方向を変えるところなどはどちらの足を動かしてどちらに回るという法則性があります。

すぐにできる子は、法則性をわかっていて、形をまんべんなく最初から最後まで通り一辺倒に打つことはしません。間違えたところやうまくできなかったところを集中的に繰り返します。できるところはそのままで、出来ないところをまず直そうとするのです。

形で回るところは、まずどちらの足を動かしてどちらの方向に回るかさえ覚えれば一度で覚えることができます。

懇切丁寧に手取り足取り教えても、覚えない生徒はいつまでも覚えません。かと思えば、何でもすぐに覚えてしまう生徒もいます。空手も勉強も仕事も、覚え方を覚えなければ効率は上がらないということですね。

今日の稽古でひとつ気がついたことがあります。まったく知らないことを「右も左もわからない」ということがありますが、生徒の中で小学生になっても右と左がわからない子が最近多くなりました。ですから、私は早く右と左を覚えてもらおうと、入門してきた子には、まず右と左を教えることにしています。

で、気がついたことというのは、右と左という言葉を知らないということは、左右の概念が欠如しているということなのです。空手の稽古で右と左を覚えても、家庭や学校で右と左を教え使用させなければ、右と左の概念が育たないので、形を覚える時に多くは、どちらの足を動かせばよいか、どちらに回れば良いか、覚えることができないのです。
「左足を右に動かして回る」と言われても、右と左の概念が薄いと、どちらの足をどちらに動かすか、右か左かを言われても理解できないのだと思います。

これを考えると、昔ながらに「お箸を持つのは右手、お茶碗を持つのは左手」と、幼児期からしっかりと教えることは大変重要なことだと痛感します。
また、空手着の紐をちゃんと結べる子は上達が早いですね。小学生中学年になっても蝶結びができない子がいます。やはり、これもご家庭での仕事でしょう。

特に、幼児などは自分で空手着を着れる子と着れない子では上達度に雲泥の差があります。自分の力で何かをやることで自立心が芽生え、何でも自分から覚えようとすることができているのでしょうね。
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 「しか」には「だけ」、「も」ならば「も・も・も」
2015年06月22日 (月) | 編集 |
最近の空手の試合を観ていると、随分とサッカーに似て来たなと感じます。先日のワールドカップ予選で、日本がまさかのシンガポールと引き分けてしまったことは記憶に新しいと思いますが、空手の団体戦も同じだと思います。相手のエース格の選手やポイントゲッターと勝てないまでも引き分けに持ち込めば、団体戦は有利に展開できます。それには、真っ向勝負を避けて引き気味に試合を進め、0-0のまま粘り、もし相手の集中力が途切れ隙があれば躊躇なく攻めるが、次の場面ではまた引き気味に試合を進めれば引き分けに持ち込むことができます。

では、逆の立場で相手が真っ向勝負をする気がない時に、どのように追い詰めてポイントを取るかという時の話です。例えば、これは個人戦でも団体戦でも言えることですが、大会で緊張した場面では、相手の集中力もMAXになっているし、中途半端な技ではすべてかわされるかカウンターをもらってしまいます。

こんな時に、普段どのように稽古に打ち込んでいるか選手を見ているとよくわかります。稽古のための稽古をしている者は、普段通用している技が本番では通用しません。試合のための稽古をしている者は、緊張状態でも通用する方法や、自分が不利な状況下での戦い方、格上の相手、逆体の場合等、様々な場面を予め想定してやっています。

稽古のための稽古か、試合のための稽古か、同じように一所懸命やっていても内容がまったく異なります。面白いものでこの稽古への取り組みは、年齢はあまり関係ないように思います。小学生でも試合のための稽古を行っている者もいれば、大人になっても稽古のための稽古しか出来ない者もいます。

結構、ゲーム脳の子供なんかはこういう部分の才能があったりして、稽古で様々なシュミレーションを立てていたりします。、

前置きがいつもの如く長くなりました。例えば、決勝戦で緊張した場面なると、自分の使える技も限定されてきます。相手も強いし、加えて最後の試合で集中力がありますから。
そんな時に、上段突きでポイントを取ろうとして上段突きばかり出す選手はすべてかわされて、試合の流れさえも相手に行ってしまう場合があります。上段突き「しか」なければ、相手は上段突き「だけ」注意していれば良いからです。

そんな時に、中段を1回で良いから見せておけば、展開が大きく変わってきます。中段突きでポイントを取れなくても、見せておくだけで良いのです。中段突き「」あるぞと思わせれば、相手は上段突きと、中段突きだけでなく、様々な技を想定し、あれも、それも、これも、とたくさんの「」を脳内でつくりだし、技を絞ることができなくなります。

また、自分よりも身体が小さく動き回る相手に、上段ばかり突くことは得策ではありません。そういう相手には下から攻めれば効果的です。足を軽く払うことで、相手に脛に払われた感触を残しておけば足が少し止まります。ダッキングをする相手には、中段突きと中段蹴りを見せておけばダッキングがしにくくなります。

相手の追い方も工夫が必要です。延々と短調に追い続け、相手を蝶のように舞わせてしまうと、どこかで蜂のように刺されてしまいます。まず、相手の足を止めてコーナーに追い込むか、場外に出すことも稽古中にやっておきたいものです。

今日の結論は、自分がこの技「しか」使わなければ、相手はその技「だけ」を注していれば良いので楽ですが、この技「」あるぞと見せておけば、相手はこれ「」、それ「」、あれ「」と的を絞りきれなくなる分、自分の得意な技が極まる確率が上がるということでした。

 名言
2015年06月02日 (火) | 編集 |
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」

皆さんも知っている余りにも有名な山本五十六元帥のお言葉です。
何度読んでもつくづく良い言葉だなぁ・・・と思います。
 当たり前のことを普通にやれば強くなる
2015年06月01日 (月) | 編集 |
私は空手を指導して30年以上になりますが、指導をしていて子供たちのようすがこの数十年で随分と様変わりしてきました。
競技力は、年々向上しています。全日本クラスや国際大会の数も何倍も増えています。でも、子どもたちが自分の意志で空手を選んでいるのではなく、親が100%決めていることは否めないと思います。習い事は、100%子供の言うことを訊く必要ないと思います。小学校入学前や低学年の子供は、自分で判断できるだけの情報量がありません。
でも、「空手をやりたい!」と思って稽古している子と、「お母さんが決めちゃった。」という子では、上達の度合いが大きく変わります。
ただ、この辺りは、今も昔もあまり変わらないのではと思います。以前だって、習い事は親が決めていましたよね。でも、入門してからの上達度は、今とは比べ物にならないほど早かったように思います。

さて、今日のトピックは、年齢に関わらず、ドンドン覚えてうまくなっていく子と、いつまでも覚えない子の差は何かということを書いてみたいと思います。
率直に書くと、その差は知能指数の差ではありません。空手のために脳が働いているかいないかの差です。覚えようと思えば誰でも覚えることができますが、「覚えよう」「うまくなりたい」と思わなければ上達はしません。

私は、11年の海外生活経験がありますが、その国に30年以上住んでいて、まったく言葉を話せない日本人を何人も知っています。つまり、周囲が気を使って日本語を話してしまうので、自分は覚えようと思わないから話せないのです。

空手も同じで、自分で覚えようと思わないと、毎日稽古に来てもまったく覚えません。私は、常々「脳の覚醒化」と言っていますが、子供はある時から突然物覚えが良くなり、急速に上達する場合があります。自分の中で、何か上達のこつを感じることができたのでしょう。

ですから、空手の技を教える前に、とにかく脳の覚醒化を心掛けなければいけないのです。最近は、下記のような子が多くなっています。

・ 近くで話しかけても、全く気づかずにボ~ッとしている。
・ 右と左を小学生になっても分からない。
・ 帯を何年経ってもちゃんと結べない。(蝶結びも分からないから、ズボンが落ちる)
・ 説明の時、こちらを見ているが、まったく頭に入っていない。
・ 整列ができず、誰かに導かれるのを待っている。
・ 整列時にまっすぐに並べない。(周囲を全く見ない)
・ 思い切り動かない。
・ 声が小さい。
・ 技を直しても、自己流に戻る。(100回直しても100回元に戻る)

こんな子は、まず脳を活性化させて、他人の話しを聞いて、しっかりと頭に入れて、かつそのとおりに行動できるようにする必要があります。
実は、私が一番頭を使っていて、それでもなかなか成果が上がらないのは、こういう子の脳の活性化なのです。

例えば、こういう例があります。頭は良いし覚えも早く、やる気もあった子が、ある時点から急に覚えが悪くなりました。本当に今までは何だったのだろうと思うほど、上達が止まってしまったのです。
父親がいて道場で一緒にやっている時はドンドン上達していたのです。ところが、父が一時的に一緒にいれなくなり、母子だけで過ごす時間が増えると、まったく上達しなくなったのです。
観察していると、小学生なのに、我が子に服を着せている。食事の時に食べ物を口に持って行き食べさせている。同年代の友達と接することをさせずに、いつも母親のそばに置くようになった途端、子供がまったく覚えなくなってしまったのです。

別に母親と一緒にいる時間が増えても良いのです。自分で服を着させて、自分でご飯を食べさせ、友達と自由に遊ばせる、自分でできれば何の問題もないのです。全てをやってしまうことが問題なのです。

また、休憩時間になると必ず、母親の下に行き、母親と一緒に休憩している子は他の子とくべて上達が遅い傾向があります。依存度が高くて自立が遅れるからです。

結論は、自分で朝起きて、自分で服を着て、用意されたご飯を自分で食べて、自分の判断で友達を遊んで、道場に来たら靴をきれいに並べて、稽古の始まりは整列を早くキレイに並び、丁寧に礼をして、稽古中は終始大きな声で思い切り技を出し、休憩中に親がいても親のところに行かず、最後に大きな声で挨拶して家にも帰れば、誰でも空手はうまくなるのです。

この中で、親の役目は何でもかんでもやってあげてはいけないということです。自分でやることを教えるのが親の役目です。やらせずに親が何でもやってしまえば、子供は覚えようとしなくなります。

右と左が小学校4年生になっても分からない子がいました。当然、空手は全く上達できません。私は、「右と左がわからないの?」と訊いたら、その子は「習ってないから分からない。」と答えました。
これは、学校で習う習わないではなく、家庭で教えるべきことです。箸の持ち方も家庭で教えることです。通常は、帯の結び方を教えるだけで良かったのですが、最近は蝶結び方さえも中学年でできない子が多くなりました。これもご家庭で教えるべきことです。

自分の持ち物に名前を書かず、他人のものを持って帰ってしまう子を、稽古中も大会でも頻繁に見かけます。名前を書いておけば、間違っても気づきますが、名前を書かなければ気づきません。これも保護者の役目です。

書いてしまえば、どれもこれも当たり前の事ばかりですね。でも、実際には当たり前のことをできない子が、空手がいつまで経っても上達できないのです。
当然、当たり前のことをシッカリと教えているご家庭もあります。そんな子でも全員チャンピオンになることはできません。でも、そつがないから期待通りの結果が出る。少しづつ、確実に上達しているから徐々に成績がアップしてきます。

当たり前のことを普通にできる。考えてみれば、これはご家庭だけ、子供だけでなく、指導者も色々な意味で同様なことが言えますね。
自分も、当たり前のことを普通にできるように習慣づけなければと、今から自己反省の時間に入ります。