匙加減
2015年05月27日 (水) | 編集 |
私はよく、観客席に座って試合を観戦している時や、審判をしている時に、監督の選手に対する指示を興味深く聞く時があります。

試合前の作戦や試合中の指示は、料理に似ていると思います。
一流の料理人でも、家庭の主婦でも、調味料は同じです。塩、胡椒、砂糖、醤油等、品質もこだわりはあるでしょうが、それほど違わないと思います。
食材も高級な物を取り寄せることはあっても、一流レストランで調理されたからこそ、一流の料理に仕上がります。

つまり、最も大切なのは匙加減(さじかげん)だということです。
空手に話を戻すと、ごく稀に凄い作戦や大技を狙わせる場合がありますが、多くの場合、名指導者は当たり前のことを当たり前に指示しているだけです。

ただし、優秀な監督ほど事前の準備が万端で流れを読みながらピンポイントで指示できている。

「間を潰せ!」「今は行くな!」「右に回れ!」等、ひとつひとつは当たり前の言葉でも、優秀な指導者の指示は、まさしく生きた言葉として選手を勝利に導きます。

優秀な指導者もそうでない者も、使う言葉は同じです。微妙なタイミングやアクセントで、選手という素材を生かすことも殺すこともできる。

時々、監督の指示を聞いていて、「ウーン、凄いなぁ…。」と唸るときがあります。
反面、監督の指示に対して、「今それを言っちゃダメ」と思う時もある。

あっ、言い忘れました。監督は試合中、声を出してはいけないのでした。←これ大事です。
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 悪い時に勝てれば本物
2015年05月17日 (日) | 編集 |
私は、調子の良い時に勝っても、あまり評価はしません。
逆に、調子の悪い時に勝てれば本物だと思っています。

ごくまれに、やることなすこと全部はまってしまう時があります。それは偶然の勝利であり、継続性がありません。
身体が思うように動かない。流れが相手にあり続けた。怪我をしている。そんな時に、しょっぱい内容でもしぶとく勝利できれば、そちらの方が評価は上だと思うのです。

ですから、打つ手打つ手がはまりにはまって一方的に勝利した時は、あまり選手を誉めることはしませんが、反省材料が多くても悪い流れの中最終的に勝利した時は、誉めたくなります。
そういう戦いができるようになったということは、技術的な欠陥はあっても、それ以上に精神的成長が大きい時です。

今、各地で全少・全中・インターハイ予選が行われています。試合当日、怪我をしていたり、なぜか体が動かなかったり、やることが全部裏目に出たりと、一生を左右する大一番にもそういうことは良くあります。
悪い時でもしぶとく勝つ。そんな選手がいるチームは強いですね。
 欠点を作れ!
2015年05月13日 (水) | 編集 |
タイトルは、まだ私が大学を出たての頃、師に形を見ていただいている時に言われた言葉です。

当時は、形の意味を全く理解せず、嫌々やっていました。覚えなければ昇段できないなんて程度の認識でしたね。

当然、必死さがないから他人から見て、順番の羅列だけのクソ面白くない形でした。
「お前は、基本はまあまあできている。形も取り立てて減点個所はない。でも、加点箇所もないから、褒めようがないんだよなぁ…。とりあえず、欠点を作ってみろ。そうすれば何か俺も言いようがある。」というような内容でした。

今、指導者になってこの言葉がよく理解できるようになりました。可もなく不可もなく、全てが及第点だが、他人と比べて突出しているものがないのと、欠点だらけだが、他人が真似できないような長所もある者を比べたら、後者の方がはるかに魅力があります。

欠点が多いということは、課題がはっきりしており、それを直せば今よりも凄く上達するということです。
10個の欠点がある者と、100個の欠点がある者では、後者の方が10倍上達できるということです。

思えば、師にこの言葉を言われた意味は、当時からわかっていました。当時は気も力も8割程度でやっていたので、人を感動させることができなかったのです。
だから、形が崩れるくらい目一杯やってみろ!という意味で言われていたのです。
下手くそでも10割、いやそれ以上の気力と力で形を打てば、人の心に響く形になります。

当時、自分が言われたことを、今は生徒に言っている。何気なく言った言葉が、言われた者にとって一生覚えていることがある。
言葉は慎重に、相手の心にひとつでも多く響くように心がけなければいけないと思います。
 負けても評価される
2015年05月11日 (月) | 編集 |
本日は、私の所属する県の大会でした。そこで、感心する出来事がありました。
ある高校の顧問の先生とコーチが会場に選手のスカウトに来られていたのですが、「先生の生徒さんに声をかけさせていただきました。」とわざわざ挨拶に来ていただきました。

そこで、選手の名前を書いた手帳をみたところ、2回戦と3回戦で負けた選手だったのです。上位に入った選手が声をかけられるのは当然ですが、緒戦で負けてしまった選手に声をかけて名前を控えるのは随分と面白いなと思っていたところ、理由がまた良かったのです。

「身体が小さいのに元気な気合いで前に前に出ていたから」というものだったようですが、それこそまさに前日の反省会でも生徒たちに言ったことであり、最近私が口癖のように言っていたことなのです。それを実行した2名がさっそく高校の先生・コーチに声をかけられたというので、感心したのです。

私は内心、良い子に目を付けてくれたなと思いました。顧問の先生とコーチの眼力にも感心しましたが、負けた試合で評価をされた私の生徒たちも誉めてあげたいと思います。勝てば誰でも良い選手だと分かります。優勝すればいろいろな学校から声がかかります。

でも、選手の真価は負けた時によりわかるものです。負けても他人に評価されるということは、見方によっては勝って評価されるよりももっと素晴らしいことです。

今日は、決勝戦が同門対決になり、選手たちが大活躍してくれましたが、優勝・準優勝をした選手たちと同じように、緒戦で負けても声をかけられた選手たちを誉めてあげたいと思いました。

表面的な勝ち負けではなく、将来性を感じさせる何か光るものを選手の中に見出すことができる。これが真のスカウトではないでしょうか。