実力で負けたのなら問題ない
2014年08月21日 (木) | 編集 |
私も指導歴が長くなり、若い時よりは今の方が冷静に勝負の分析ができるようになりました。
今負けても、将来勝つ子とはどのような子なのか?
指導歴が長いと何万人という生徒の成長を観ているわけですから、データは十分なほど頭の中に入っています。

先日の全少の試合を観ていて感じたことがあります。
たとえ、形で0-5で負けようが、組手で0-6で負けようが、1回戦で負けようが、子供の将来の空手の成績にはあまり関係がないということです。
つまり、一方的に敗れたのは実力差があるからです。技術や体力は子供の成長の過程でどうにでも変わります。小さい子もいずれ大きくなる。技術が未熟ならば高校大学で毎日練習すれば習得できる。
たとえ、身長が伸びなくても、体力さえつければ何とでもなります。

つまり、技術や体力で劣っていてそれが理由で完敗しても、将来に対しては全く問題はないということです。小中学生の時に、10回やって10敗した相手に、一度勝ったらあとは連戦連勝なんていう例は山ほどあります。

また、週2回の練習で全少に出た子と、週5回の道場での練習に加え、週末は高校に出稽古か練習試合なんていう生活の子を比べれば、後者が勝つのは当たり前です。

ですから、今の勝ち負けは将来においてはあまり参考にならないわけです。

では、選手の将来を占うのに、どこを私は見ているかというと、今の実力を十分に発揮できたかどうかを一番見ています。基準は、相手ではなく自分自身です。大事な試合で100%実力が発揮できたか?もし、大きな試合で毎試合実力を発揮できたならば、たとえ今は負けても、この先技と体力がつけば、それに伴い成績が上がります。

反対に、期待されながらいつも本番になると力を発揮できず不完全燃焼に終わる選手は先が読めません。どんなに実力をつけても、それを100%発揮できるだけの精神力がないわけですから、それを直さない限り将来も勝つことはできないわけです。

選手や保護者は今しか知らないので、同学年や同年代でいつも勝っている選手を見ると、あの子には一生勝てないと思うのではないでしょうか?
でも、現実にはそんなことはないのです。小学校でコテンパンにやられ、中学校でも指一本触れることさえできず、高校になったら少しはましな戦いができるようになり、大学生になったら勝てるようになった例は山ほどあります。

将来性のある選手というのは、下記のことを実践している者だと思います。

1、常に全力を尽くす。
2、今の自分の実力を100%発揮する。
3、諦めない。

全少王者の何割が将来全日本選手権で上位に入賞し、世界で活躍しているかご存知ですか?思ったよりも少ないものです。
反対に、全少や全中に一度も上位に入っていない選手が、全日本選手権の上位を争い、世界で活躍している者は思ったよりも多いものです。

だから、私は自分の生徒だけでなく、知っている選手を見る時に、何位になったかに興味があるのではなく、どのくらい今の実力を発揮できたのかを注意深く見ることにしています。

その上で、もしも自分が高校か大学の監督であったら誰をスカウトするか?そんなことを考えながら試合観戦をしていると本当に楽しいものです。
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 勝因は防御力
2014年08月15日 (金) | 編集 |
少し時間が空いたので、先日のインターハイ団体組手の内容を私なりに分析してみようと思います。データから勝因敗因を分析すると、面白いことがわかります。勝ったチームは必ず勝つ要因があり、負けたチームも必ず負けた要因があるということです。

ここに挙げるのは、上位4チームのみとしますが、途中で負けたチームにも同じような傾向があると思います。ただ、緒戦のうちはまだエンジン全開とはいかず、実力差も大きいので、データとしてはあまり参考にならないかもしれませんね。

男子団体組手
 さて、男子組手の上位4校は、御殿場西、日本航空、浪速、京西でした。これらのチームは全校5試合ずつ行いました。簡単にまとめたデータは下記のとおりです。

     総試合数  勝敗分 得点(平均) 失点(平均) 平均得失点差
御西   20     14/3/3  58 (2,9)    24 (1,2)    1,7
航空   22     13/5/4  64 (2,9)    41 (1,9)    1,0
浪速   23     14/4/5  55 (2,4)    30 (1,3)    1,1
京西   22     13/5/4  81 (3,7)    37 (1,7)    2,0

 数字的には、決して御殿場西が突出しているわけではありません。これを観て、御殿場西が何で優勝したのか分かる人はいるでしょうかね?
 でも、私は「やっぱりな」と思いました。それは、平均失点です。1試合当たり失点が1,2という数字は凄い数字ですよ!ほとんど2点以上取られていないのですから。 数字から見ると、浪速が御殿場西と数字的に同じ傾向にあるのが分かります。ただ、緒戦から得点が少ないのが逆に気になりました。京都西は得失点を見ると、ほぼ全員が絶好調であったことがわかります。日本航空は、失点が多すぎたのが残念です。
 試合巧者という点では、御殿場西と浪速であったと言えるでしょう。

女子団体組手
 女子のデータが男子以上に面白かったですね。まさに監督の手腕で優勝を勝ち取ったことが如実にわかります。上位4校は、御殿場西、拓大紅陵、花咲徳栄、九州学院でした。なぜ、九州学院が台風の目となったのか?これも数字から読めるのは監督の手腕が影響していたということです。

     総試合数  勝敗分 得点(平均) 失点(平均) 平均得失点差
御西   24     11/6/7  44 (1,8)    33 (1,4)    0,4
紅陵   24     13/5/6  53 (2,2)    25 (1,4)    0,8
九学   24     14/4/6  44 (1,8)    12 (0,5)    1,3
徳栄   24     12/5/7  76 (3,2)    40 (1,7)    1,5

 注目すべき数字は、九州学院の失点が僅かに12点だったということです。これだけ守れれば、台風の目になったのも納得がいきます。そして、優勝した御殿場西の平均得失点差がなんと0,4しかありません。どこかで1ポイントでも取られていたら緒戦で負けていたかもしれないのです。選手たちが守って守って守り切っての優勝という感じでした。
 女子組手は、これら4校以外の試合もほとんどが大将戦までもつれています。男子の試合総数の4校平均が21,75に対し、女子は24です。つまり、女子の方が実力が拮抗している試合が多かったということです。

 それにしても、得失点差が0,4って、監督は紙一重の試合ばかりしていたわけです。心臓に悪いですね。この4校を比較しても、団体戦での出場選手の勝利数はたった11で御殿場西がダントツで最低です。つまり、勝率が半分以下と、もっとも勝っていないチームが優勝したと言えます。
 御殿場西は、2回戦の対敬愛で、得点6、失点6で代表戦で薄氷の勝利を得ています。準決勝の対徳栄では、得点9に対し失点は10です。どれだけ効率良く勝ち上がってきたかこれだけでも分かるでしょう。
 その点では、花咲徳栄も監督の手腕が大きかったと言えます。勝率が丁度5割です。

 でも、実は数字ほど御殿場西は苦戦してはいなかったのです。
 理由は御殿場西の大将がしっかりしていたから、監督・選手からすれば、「大将まで回せば何とかなる」と思って信頼していたはずです。 特に、最終日は大将が全試合素晴らしい活躍をしての優勝です。
 監督が予め大将戦までの戦いを想定し、オーダーを組んでいたのは明白でした。

 もう一つ、大きな勝因がありました。それは負け方を選手全員が知っているという点です。御西は団体組手で全部で6敗しましたが、6敗のうち4敗までが1ポイント差の僅差で負けています。残り2試合のうち1試合も2ポイント差です。
 ここから分かることは、監督の勝利の方程式が完全に機能していたということです。チームの柱を男女ともにしっかりと作り、他の選手がしっかりと自分の役割をやり遂げたということです。

総括
なぜ御殿場西が守り勝って男女ともに優勝できたのか?試合を観ていると、御殿場西だけが徹底していたことがあります。それはここでは書けません。細矢監督の企業秘密をばらすことになりますから。
 でも、私は試合中に「御殿場西の生徒だけが徹底していたな」と感じました。ヒントだけを書くと 「自分の空手をすると同時に相手には空手をさせない」これを徹底して選手が実践していたのです。

 私は、常々8-0の勝ちよりも1-0で勝つのが最高の勝利だと書いています。その意味では、今年の御殿場西の選手たちは最高の勝ち方をしたのではないかと思いました。気持ちだけではなく頭でも勝っていたということでしょう。

 ですから、本当の勝因は、得点にあるのではなく失点にある。勝者と同時に敗者にも勝因があるということです。細かな勝負の綾は他に1000くらいありますが、とりあえずこんな感じで分析をすると、なぜ勝ったのか?なぜ負けたのかが分かるのではないでしょうか?
 熱いぞぉ~~~~!
2014年08月08日 (金) | 編集 |
8月に入り、熱い毎日が続いています。特に8月4日は熱かった。因みに暑いのではなく熱かったのです。この日、日本で一番熱かったのは、千葉県の印西市だったでしょう。といえばわかりますよね。そうです、インターハイの熱い戦いです。

春はだいたい順当に優勝候補が勝ちますが、夏は波乱が起きます。今年も個人団体共に大波乱の連続でした。でも、大波乱というのもおかしいかもしれませんね。このレベルになると、紙一重の実力がしのぎを削っているのですから、調整いかんで勝敗はどちらにも転ぶのですから、やっぱりありきたりな言い方で、強い者が勝つのではなく、勝った者が強いのだということでしょう。

団体組手は、男女ともに御殿場西高校が優勝しましたが、選手たちを観ていると、空手が一流というだけでなく、人間として一流の子たちだったなと思いました。私が会社を経営していたら、真っ先に「ぜひうちに!」と、スカウトしたい子たちでした。
細矢監督の大胆な選手起用、本当にしびれました。男子も女子もオーダーと作戦がことごとく当たりましたね。
また、選手たちの構え、立ち位置等、見えないところが徹底されていました。

選手一人一人の役割が明確で、男女ともに理想のチームではなかったかと思います。ほぼ、全試合が大将戦までもつれたことでもわかるとおり、決して圧倒的に強いチームではありません。特に女子はほとんどが紙一重で勝ち抜いてきたチームです。
だから、監督の指揮と選手の気持ちの強さが際立ったのです。


本当に高校の監督というのは素晴らしいと思います。人を育てるという素晴らしい職業です。人間として一流の人が多いです。
私も、もう一度人生をやり直せたら、大学の授業をサボらずにちゃんと出て、高校の教師になって空手部の顧問になりたいと思います。


選手たちは、必死に戦っているところを親に見せることが、最高の親孝行だと思います。親も、子供たちがこれだけ一所懸命に戦っているところを見せられたら、親は仕事を休んで遠方から来た甲斐があるというものです。
勝てばそれに越したことはありませんが、負けても必死な姿を見せることが最大の親孝行なのです。

親に限らず、我が弟子が必死に戦っている姿を観に、何人もの指導者が会場に足を運んでいます。ですから、必死に頑張ることが師への恩返しにもなるのです。
私も今回何名かの生徒たちが必死で頑張る姿を観て、十分に満足しました。


さて、4日は選手たちの熱い戦いの余韻に浸る間もなく、埼玉に戻ってきました。総合格闘技の田中路教選手と、三原宏輝選手が来てくれたのです。
私なりの打撃理論で突きと蹴りを指導させていただきましたが、少しでも参考になれば幸いです。そして、JKFanに連載中の漫画マジックの著者、鴨林源史先生にも今後のマジックの展開のヒントになればと思い、参加いただきました。

俗に効く技というのはどういうものか? 元プロボクサーの私ですが、総合に活かすのは伝統空手の突き方の方があっているように思います。腕の筋肉で突くのではなく、骨で突く感覚、手の重みを感じて相手に触るように突けば威力は出ます。
あとは、長い距離を突くには空手の歩法がやはり参考になります。
ローキックもカウンターをもらわずに効く蹴り方がありますが、これもバチンと蹴るのではなく、擦るように蹴ります。

突きは触る。蹴りは擦る。これが私なりのこつです。

田中選手は、9月20日にさいたまスーパーアリーナで、UFCジャパンの興業で試合をする予定です。海外をベースにしばらく試合をしてきたので、数年ぶりの日本での凱旋試合です。現在10勝無敗の期待のホープです。
加えて、凄いイケメンですから皆さんも注目していてください。

さて、まだ全少と全中と熱い夏は続きます。

こんなに熱い思いをしても体重がいっこうに減らないのはどうしてでしょう?

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御殿場西高校、男女アベック優勝おめでとう!(写真提供:株式会社チャンプ)

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中央が田中路教選手です。稽古後は、うちの生徒たちにサイン攻めにあいました。9月20日は生徒も保護者も応援に行きます。