上達のこつ
2014年03月24日 (月) | 編集 |
当道場の生徒たちを観ていて、どこの支部も私が教える時は同じくらいの時間数で同じ内容を指導しているのに、まったく覚えない生徒とみるみる上達する生徒がいる。

これが、やる気のあるかないかで解決すれば何も問題ないのです。一所懸命にやっているのに全く上達しない子を何とかしなければと思うのです。


例えば、セミナーや通常の稽古で、新しい技を教えた時、その場でできる生徒がその技を自分のものにするとは限りません。

私がAという生徒が、逆体の相手に相性が悪いと思い対策として教えていても、教えられている生徒は自分のために指導してもらっていると思っておらず、それも練習の時には完璧にできるのに、以後一切試すことをせず、いつまでも同じタイプの選手に勝てない。こんな子が意外と多いのです。

かと思えば、横で私の説明を聞いていて、ちゃっかりと自分のものにしている生徒もいます。こういう生徒は、ドンドン引き出しが多くなってゆき、本番で想定外の事態が起きても対処できるものです。

器用で何でもできるにも関わらず、いつまでも自分のものにできない生徒には共通点があります。その時に一所懸命にやるけれど、そしてほぼ完璧にできるけれど、次の日からそれを一切使わなくなることです。しばらくして私が指摘をするとその日は思い出したように使いますが、また使わなくなる。

いくら器用な生徒でも、その場限りでは絶対にものにすることができません。



異なるタイプもあります。説明を聞いている時に、ちゃんと聞いていないので実際にやる時に注意点を端折ってしまい、自己流になっている場合です。

一方、他の生徒に言っていることを自分もしっかりと実践し、修正している子は絶対に伸びますね。
また、その日はあまり上手にできていないが、次の日もやっている。その次の日もやっている。いつかその技を自分のものにしている生徒がいます。こういうタイプは、不器用さを逆に自分の武器にしています。人並みにできないからできるまで時間がかかるが、諦めずにコツコツとやるので結果的にできるようになる。

いくらセンスがあっても、その場限りで次の稽古の時はすっかり忘れている者は、絶対に成長しません。不器用でその時にできなくても私の目の届かないところでもちゃんとやり続けている者は、少しずつですが上達しています。



土曜日稽古中に子供たちに言ったことです。

「先生は、今日はみんなができない内容の練習をやりました。なぜかというと、出来ない時にみんながどうするかを見たかったからです。いつまでも同じことを注意され、直そうとせずに最後まで全然できなかった人がいます。一方、少しずつ良くなってきた人もいます。

特に、一列に並び自分の番を待っている時の様子を先生は観ていました。自分の番が終わるとボ~ッとして、また自分の番が回ってくると真剣にやる者。自分の番を待っている間に他人がやるのを注意して見ている者。

同じ練習時間でも、〇〇は待っている間はボ~ッとしていますから休憩時間です。でも、他人がやるのをちゃんと観ていた△△は待っている時も練習になっています。先生が説明している時も〇〇は空中をボ~ッと観て聞いていません。△△は先生の方をちゃんと見て聞いています。これがそのまま上達の差になっています。

動いている時だけ練習で、あとは休憩になっている者と、動いていない時も先生のアドバイスに耳を傾け、他人の動きを見ている者では、上達が全然違うのは当たり前ですね。」



また、ある生徒に「今日はこれ一つだけに注意して練習しなさい。あとはいくら間違えても良いから。」と言いましたが、数秒後には注意したところを間違える。こんな生徒も多くなっています。
こういう子はおそらく間違えることに恐怖を感じており、その点だけを気をつけることがかえってできなくなっているのではないかと思います。

例えば、そのアドバイスはごく簡単なことです。例に挙げると「突く時に下を見ない。」等ですが、数秒後に突いた時に、もう下を見ています。また注意すると今度は1本目は大丈夫ですが、3本目くらいからまた下を見始めます。こういう子は、いつまでも直らないので何年も同じことを言われ続け、他の指導者からも同じことを言われます。
だいたいこの傾向にある生徒は、家庭で親が厳しすぎるケースが多いと感じます。

では、厳しい躾けをやめて優しくすれば良いかというと、それよりもできた時に誉めてあげることがもっと大切ではないかと思います。

私は、出来ない時は生徒が泣いてもしつこくさせる時があります。けっこう大きな声を出して何度も何度もできるまでさせます。ここを中途半端にしてしまうと後で誉めることができないからです。できなかったことを何度も何度もやって、泣きながらやらせて、出来た時に誉めてあげる。ここまで教えてあげると、それまでできなかったことはだいたいできるようになっています。


生徒をどのように上達させるか?指導者としての永遠のテーマですね。


土曜日に感じた上達のこつは、まとめるとこんな感じかな?

① 新しく覚えたことは、その場限りでなくやり続ける。
② 注意点をしっかりと聞いて、自己流にならない。
③ 待っている時も他人の動きをよく見る。自分の動きをイメージする。
④ 注意されたところを集中的に直すように心がける。
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 急いでいる時は、走らずに歩け
2014年03月18日 (火) | 編集 |
一昨日、某所でのセミナーでは1時間半の時間ではあまりにも短く、言いたいことの半分も言えませんでした。本当にこの機会を与えていただきましたK先生には感謝しています。普段考えていることを講義として発表できる。これは常々私が考えていたことです。それをようやく実現したわけですからうれしさ100倍です。

さて、私は日本は海外と比べ、机に座って空手を習う時間が極端に短いか全くないかのどちらかであることに疑問を持っていました。せっかく、先輩たちが経験から素晴らしい戦い方を身につけても、それを効果的に後輩に伝える術がない。もちろん、身体で覚えることが一番大切ですが、同時に頭で覚える・考えることでより効果的に技術が身に付くのではないかと思います。

さて、試合には時間があります。それを最初から全力で飛ばしてポイントを取りに行くスタイルでは、頭を使う選手にとっては非常にありがたい相手です。

試合開始時に何をするか?
前半に何をしておくか?
中盤はどうするか?
ポイントをリードされていたらどうするか?
ポイントをリードしていたらどうするか?
残り数秒の時にどうするか?

等、試合時間をいくつかのグループに分け、その場その場での状況を把握して戦うことができるのが理想ではないかと思います。

さて、今回はその中で、「残り10秒を切って1ポイントリードされている時、相手をどのように追うか?」ということを書いてみたいと思います。
多くの選手は一刻も早く攻めたいと思い、「はじめ!」と共に相手に向かって走って行きます。しかし、相手にとってはこれは非常に楽なのです。相手が速く動けば動くほど避けるのが楽になるからです。

こんな時は、歩いてください。どういうことかというと、ニワトリを小屋に追い込むようにソ~ッと追い込むと、相手は逃げ場を失って逃げきれないものです。ですから、こんな場面では腰を落として左右の足を交互に出して本当に歩けばいいのです。

私は、競技を学ぶときは、まず机に座って覚え、次にそれを道場で検証してみることが必要ではないかと思っています。

戦いの定石を知らないがために、勝てる試合を落とした。2ポイントリードしていたのに終了と同時に1本とられて大逆転負けを喫したなんてことはけっこう多いものです。

選手たちは、このようなことを考えながら自分の組手を作りあげてほしいと願っています。
 コートの使い方
2014年03月17日 (月) | 編集 |
いよいよ、面白い時代になってきました。というのは、空手競技のコート内の開始線がなくなり、マット2枚分の中に立っていれば良くなったことです。

私は海外でこれを見た時、「野球のピッチャーズプレートやバッターボックスのように立ち位置を変えて戦うことができるな」とワクワクしたものです。

実は、昨日某所でのセミナーを行った際、午前中はレクチャーにしました。競技(形と組手)の心構えや作戦等をホワイトボードで説明をしたのです。

野球やサッカー等ではごく当たり前の光景ですが、空手競技になるとボードでの説明はまだまだ日常化していないかと思います。

私は常日頃、「空手もレクチャーで定石を叩き込む必要がある」と思ってきましたので、この機会をいただいたことは何よりもうれしかったのです。


その中のひとつに、「試合中、マットのどこに立つか?」という項目がありました。

試合エリアは下の図のようになっていますが、マット2枚分のどこに立っても良い事になっています。私はルールは縛られるものではなく、利用するためにあるというのが持論ですから、こういう時はその時々で立ち位置を考えることで試合を有利に戦えると思いうれしくなったのです。

例えば、相手が右構えなのか左構えなのかで、若干立ち位置が変わります。位置取りがうまいと「はじめ!」の直後に構えた時点で自分に有利なポジションを得ることができます。

もっと立ち位置が顕著に表れるのが残り数秒で1ポイントリードしている場面です。これなどは、立ち位置が正しいと相手にポイントを取られることがまずありません。
それには、相手の構えを予め知っておいて、どちらの足から踏み込んでくるかを知っておくことが必要です。



逆の立場でも同様ですね。1ポイント負けていて残りあと数秒で追いかけなければいけない時、立ち方位置と立ち方を知っていれば数パーセントだけポイントを取る確率が上がるはずです。
立ち位置を知っていれば絶対に勝てるということではありません。ほんの数パーセント勝つ確率が上がるのであればそれに対し、惜しみない努力をするべきです。

例えば、試合前のコートに立った時の姿勢や心構え、
「勝負はじめ」でまず何をするか?
試合の途中、様々なシチュエーションに応じて対処方法を考えているか? 終了10秒を切った時にポイントをリードしている場合とリードされている場合の戦い方、等。

単に戦うことのみに関わらず、どちらかにポイントが入って審判が「やめ!」がかかった後の戻り方なんてのもけっこう重要なポイントだったりします。勝負の綾はこういった見えない部分にあるのです。

一つ一つは僅か数パーセントであっても、試合中にこのような注意点や対処法を無数に持っていれば、勝率が驚くほど上がると思います。
ですから、こういうボードでの講義は競技において不可欠ではないかと思っているのです。

ということで、質問です。下の試合エリアの立ち位置で、残り数秒で1ポイント差の場合、負けている方と勝っている方の立ち位置はどこになるでしょうか?

コート
 身体を振る
2014年03月11日 (火) | 編集 |
相手が突いてきた時に、身体を仰け反らせて避けることをスウェイバックと言います。でも、スウェイバックで検索すると、姿勢が反った症状のことが最初に出てきちゃうんですよ。

まあ、このスウェイするのは、ボクシングではコモンテクニックです。ところが、これは日本人はあまり得意ではないんです。スウェイして突くと威力がなくなってしまいます。でも、海外の選手などは当たり前のようにスウェイで攻撃をかわし、反撃の突きも強いんです。

日本では、自分たちがやると強い突きが出せないので、ポイントにしない傾向にありますが、海外ではスウェイして反撃してもきれいに極まればポイントになります。

じゃあ、なぜ日本人はできなくて海外の人たちは当然のようにできるのでしょうか?これが問題なのです。理由が分かれば日本人にもできるはずです。

結論を行ってしまえば、中丹田(胸)の意識があるかどうかです。身体を中丹田で振ることができれば容易にスウェイできてしかもバランスも保つことができるのです。

丹田という言葉を使うと胡散臭く感じる人には別の説明が必要ですね。身体を振れるかどうかは、腸腰筋や背筋が強いかどうかが大きく関わっているように思います。
ですから、丹田という言葉を使わなくても、腸腰筋・背筋を鍛えれば同じような動きができるはずなのです。

この身体を振るとう動作は、信じられないくらい距離を稼ぐことができます。刻み突きでも身体を振る感覚で突くと、後ろ足を寄せなくても簡単に相手に届いてしまいます。
でも、前述のように上半身の必要な筋肉を鍛えていないとかえって技を崩すことになってしまいます。ですから、日本人選手で身体を自然に振れる選手は少ないと思います。

ある記事で読みましたが、日本人の腸腰筋の太さは、黒人の人たちの半分ほどしかないということです。私はこれを読んだ時に、だからスウェイするとバランスを崩してしまうんだなと思いました。


でも、日本人の中でも当たり前のようにバックステップしたり、スウェイをしても強い技を出せる選手がいます。純日本人でもいますが、外国の血が入っている選手などはほとんど自然にできますね。
でも、純日本人の感覚で指導すると、身体を振ったり上半身を使うことを否定してしまい、結果的にその選手の特性を潰してしまうことが多いものです。

私は純日本人ですが、海外生活が長かったので外国人の身体意識が理解できます。だから、なんでああいう動きになるのかということが、感覚的に理解できるのです。
日本人からすると一番対極にあるのが、黒人の人たちの身体意識ですが、私は幸運なことに最初に住んだのがアフリカです。生徒はみんな黒人でした。日本人と黒人という、両極端の身体意識を感じ取ることができたのは指導者として本当に幸運だったとしか言えません。

私が日本に18年前に戻ってきた時、日本人も生活様式が変わってきて、身体意識もこの数十年で随分と変わりました。外国人の身体意識に近い日本人がずいぶん増えたなと感じたものです。
ならば、空手の指導方法も、その特性を殺さずに活かしてあげないとせっかくの才能を潰してしまうことになるなと感じました。

事実、高校や大学で指導者が変わり、大きく伸びる場合もあればなぜか全く勝てなくなる場合もありますが、幾人かの生徒は「この子には他の生徒と同じ指導をしてはダメなのに」と感じることがあります。

形の判定も同様です。日本人の身体意識で形を判定すると、日本人が一番うまいに決まっているんです。でも、人種のるつぼの中で暮していると、他人種の身体意識が理解できるようになりますから、技の見方が変わってきます。


とはいっても、私はスウェイという技術は素晴らしいものだと思っていますから、日本人にももっと使ってもらいたいと思っています。
丹田や筋力とは異なるアプローチをするならば、スウェイした時に腹圧がかかっていればバランスを保てるし、反った体勢から反撃しても強い技が出るのです。
腹圧をかけるには、身体を捻らないことに加え、呼吸が大きく関わってきます。呼吸法をシッカリと指導できれば、空手の選手全員がスウェイして反撃という技を使うことができると思います。

また、上段を蹴る時に、上体をそのままにして蹴るか、つまり頭の位置を変えずに蹴るか、上体を倒しす力で足を振り上げるか、同じ上段の蹴りでも身体の使い方が全く異なります。
胸(中丹田)や頭(上丹田)の意識が強ければ、身体を倒す勢いで振り子のように脚を振り上げる蹴りが自然に出ます。


上体を倒して蹴れば、相手の突きは届きませんから、防御にもなります。

こういう多彩な身体操作を駆使して、超個性派の選手を育ててみたいと思う今日この頃です。

http://youtu.be/KN1fAQS0048
 勇気と好奇心
2014年03月02日 (日) | 編集 |
1日2日と某所での合宿に参加してきました。生徒も連れての参加です。当道場は、練習日は少ないのですが、多くの訪問者があり、合宿も多い方なので刺激は多いと思います。

私は、合宿中は審判をしながら時々選手にアドバイスをしていました。多くは、ルールを最大限に活用する方法、位置取りを変えて距離を僅かに変える方法、同点の場合の判定で旗が上がりやすい戦い方と旗が上がらない戦い方の違い等です。

ただ、何人かにアドバイスをする際、言ってできる子ならばいくらでもアドバイスはありますが、まだアドバイスをするのは早い子は、ただ見ているだけか「いいぞ!」「その調子だ!」と声をかけるにとどまりました。

技術的、または戦略・戦術的アドバイスができる子は限られています。先に攻めることができる、前に出ることが大前提となります。

前に出ずにカウンターばかり狙っている、ダッキングはうまいが、ただ避けるだけになっている子などは、まず攻めることができないと、アドバイスはできないものです。

また、今回参加した当道場の生徒は、支部が違えど私が同じことを教えているわけですが、どうもできる生徒とできない生徒の差が大きすぎることが気になりました。

2日間の合宿で何試合もこなしましたが、ドンドン上達する生徒は試合も積極的に自ら買って出ていました。普段稽古で習っていることを強い相手にもドンドン試していました。

同じ稽古内容、同じ練習量をこなしていても、吸収する生徒とまったく吸収しない生徒の差は、試す勇気があるかどうか、それ以上に大切なのは、好奇心ではないかと思います。

好奇心、言いかえれば遊び心があるかどうかが、子供も大人も重要な部分でしょう。練習試合は必ずしも勝つ必要はないのです。真剣に遊ぶことができれば例え負けても構わないと思います。
負ける勇気を持って真剣に遊ぶ。これが上達の秘訣ではないかと思いました。

今日の団体戦の決勝戦で大技を連続で決めおいしいところを全部持って行ってしまった生徒は、その両方を併せ持っていたということです。