呼吸と骨と内臓で動く
2012年09月30日 (日) | 編集 |
今日は、なんだか気味の悪いタイトルです。ここ数日、私が書いているのは、一言でいえばエコ空手です。筋力を使わずに最速の動きを実現する。
それには、重力を利用した重心移動が最大のエネルギー源になります。

さて、今回書くのは、単なるエコ空手ではなく、もはやハイブリッド空手の類いとなるのではないでしょうか。

筋肉を出来るだけ使わずに移動する方法です。その秘密が内臓です。人間は、胸部腹部に内臓が詰まっています。
その内臓は粘膜に包まれヌルヌルしています。
粘膜がなければ上体を曲げたり捻ったりするたびに内臓と内臓が擦れ傷ついてしまいますが、軟膜のおかげで上体を動かしてもヌルッと滑り合うので、内臓は傷つきません。

そのヌルヌルを利用するのです。


順を追って説明しましょう。

まず、呼吸で横隔膜を上げ下げして内臓を動かします。その横隔膜で内臓(主に腸)を前方にヌルッと押し出すと、少しではありますが重心は前方に移動します。
その僅かな重心移動を利用して関節を曲げ、かつ落下を利用して加速させるのです。

筋肉は、最初に横隔膜を操作して呼吸するのに使われますが、その後は、内臓を押し出し、関節を曲げ落下で重力を使うので、イメージとしては筋肉は全く使われていません。

実際には、何度も説明しているように、伸張反射で通常以上の筋力を発揮しているのですが、自分自身はまったく筋力を発揮しているという自覚がなく、それでもものすごい勢いで身体は飛んでいきます。


物体が動く時、初動時に最もエネルギーが必要になります。その時に、内臓を押し出して推進の補助エンジンとして使えば、初動が楽になり、その後の加速もスムーズに行くはずです。

犬や猫は腹筋が割れているなんてことはありません。大胸筋も盛り上がっているわけがありません。

しかし、あれだけ素早く動くことができます。もちろん、体重あたりの筋肉量は多いのでしょうが、プヨプヨのおなかで内臓のヌルヌルを利用して、脊椎の伸縮を効果的に行っていることも見逃せないと思います。


今日も、道場での稽古時に猫を道場に野放しにして、ニャンコ先生の動きを参考に呼吸と内臓と骨で動く指導を行いました。
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 抜けば力が入る!?
2012年09月29日 (土) | 編集 |
10年ほど前に高速上段突きを発表した時、「記事のとおりにやってみたらおかしくなってしまった。」「姿勢が崩れてしまい力が入らない」「身体を傾けてはダメだと言われ先生から使うなと言われた」等の意見を多数いただきました。

私は、正直「そうだろうな」と思いました。

まず、姿勢が崩れてしまうという人が圧倒的に多いと思います。これは、人間としては自然の現象です。脚の力が抜けると上半身の力も抜ける。これは当たり前だからです。
イチロー選手も随分前になりますがある新聞の記事の中で、「膝の力を抜くと上半身の力も抜くことができる」と言っていました。


しかし、空手では脚の力を抜いても全身の力を抜いてはいけないのです。「空手では」というよりも、イチロー選手に関してもこれは当てはまります。

どういうことかというと、脚の力を抜いた時にも腹圧はかかっていなければいけないということです。つまり、脚の力を抜いた時に腹圧も下がってしまうからヘロヘロになってしまっていたのです。

この「足の力を抜きながら腹圧をかける」事が出来ない限り、高速上段突きはできないはずです。高速上段突きを自然にできる選手を観ていると、全員が抜く瞬間に息を吸っています。時には、20cm近く沈んでいますが、その間息を吸い、脚の力が抜け腹圧を高めています。
だから、その後に足裏全体が床を押し、まるでロケットのように身体が飛んでいくことができるわけです。

ですから、これも抜き続けてまったく力を使っていないわけではなく、抜くことによって伸張反射を有効に使っているということで、実際には筋力なのです。


身体が傾くことも、「間違いだらけの高速上段突き」という特集で書きましたが、実際には身体は傾けていません。一流の高速上段突きを使う選手を単に真似しただけでは、やはり身体が傾いてしまい、逆に力が抜けてしまいます。



ここで、皆さんに質問ですが、「脚はどこからどこまでですか?」という質問にどう答えるでしょうか?

通常は、下はつま先から上は脚の付け根や股関節までだとの答えが多いと思います。私は、脚は大腰筋の先端までだと思っています。大腰筋は第12胸椎に付着しています。一流の選手が身体を傾けていると思われているのは、後足を後方に伸ばすと、この第12胸椎から下がすべて脚として使われるため、身体が傾いて見えるのです。
実際には第12胸椎から上はまっすぐを保っています。

身体全体が前傾してしまうことは、肩甲骨が使えなくなるので私はお勧めしません。


一流選手は、空手をすると実際の体型よりも脚が長く感じられますが、これは大腰筋をフルに使って動いているために、身体の奥の奥まで使うことができており、骨盤のもっと上の部分から脚として動かしているからでしょう。

ですから、身体を傾けることが必要なのではなく、あくまでも自分は上体はまっすぐを保つが、大腰筋から下を「脚」として使用しているために身体が傾けていると映ってしまうのです。


高速上段突きに限らず初動を相手に察知されないためには、息を吸って脚を抜き、腹圧を高めることが不可欠です。吸った時に力が抜けてしまうのは、腹式呼吸だからでしょうね。逆腹式呼吸ならば、吸った時に腹圧が高まります。


では、どうやって逆腹式呼吸を練習するのかというと、形をやればいいんです。ただし、何でもかんでも形をやれば身に付くかというとそうではありません。
形の中に逆腹式呼吸の箇所があるので、そこを正確にやるという意味です。


私は、剛柔流なので剛柔流で説明しますが、最近は回し受けをするときに息を吐いている選手が多いのです。あそこは吸って受けなければいけません。なぜならば、回し受けはここで説明したことの典型だからです。


回し受けができると高速上段突きができる。だから空手は面白いんです。


 一つ見ればすべてわかる
2012年09月27日 (木) | 編集 |
形は、どこか一ヵ所を見れば、「その選手のレベルがわかる」というところがあります。そこを見ればその選手のレベルとどう指導されているかが分かるという箇所です。

以前、私は選手は目と指先と背中を見れば全部わかると書きましたが、それとは別に「この形は、ここを抑えているかどうかが大事」という箇所なのです。

一ヵ所というのは言い過ぎかもしれませんが、私の場合は一つの形で2~3か所は、「ここだけは絶対にはずせない」という箇所があります。
勝ち負けは別にして、そこを抑えていれば良い先生に師事しているな、形の本質を抑えているなという箇所です。

そこは、決して技で最も派手な箇所や、気合の場所とは限りません。むしろ、何気ないところに選手のレベルが現れるので、かえって地味なところの方が多いと思います。

例えば、数か所を例に挙げると、剛柔流のサイファなどは片足で立って掬い受けと抑え受けをする箇所で選手のレベルを見ます。片足で立つとバランスを取ろうとするあまり、受けが疎かになります。中には両手でバランスを取っているような選手もいます。
ここで、しっかりと立てて、受けを強く、蹴りをビシッとできれば、合格というところでしょうか。

セーパイは、弾指打ちをした後に、片手で擦り上げるように受け、もう一方は抑え受けの箇所です。ここで、脇の締めや肩甲骨、三戦立ち等をチェックできます。
おそらく、形全体から見ればここがしっかりできてもできなくても勝負に致命的な影響はないでしょう。
しかし、そんなところに本物の基本を身に付けているか、そうでないかが最も出ます。

やはり、形は後ろから見た方が良いですね。誤魔化せないところにこそ、その選手の本当の実力がにじみ出ます。



私は、「形は年寄りに習え」というのが持論です。年配の指導者は、競技としての見栄えよりも、使えるか使えないかを考えて形をやっていますから、自分の先生が年を取っている必要はありませんが、やはり年配の先生に定期的に習い、ダメ出しをたくさんもらいながら仕上げていく方が良いかと思います。
 蹴りのこつ
2012年09月26日 (水) | 編集 |
蹴りの稽古を多くこなしているのに、なかなか蹴れるようにならない。こんな人は意外と多いのではないかと思います。

おそらく、基本の稽古で蹴りばかりやっていても、この先蹴れるようにはならないと思います。やはり、蹴りを組手で使うには、それなりの稽古方法があり、それを考慮せずに行っても実際に使うことはできないはずです。

蹴りのこつをいうならば、回し蹴りや裏回し蹴り、後ろ回し蹴り等を使いたければ、体側と尻を鍛えることが重要だと思います。組手の時に横に掻い込まなくても、稽古の時はしっかりと横に掻い込んで股関節をまんべんなく回転させることが蹴り上達の近道です。

回し蹴りは体側を締めることも非常に重要になってきます。
前蹴りは、膝の掻い込みが命ですから腸腰筋を鍛える必要があります。


私は、伝統の稽古を行っていても、元々できる人は別にして、普通の人は前蹴り以外は使えるようにならないと思っています。なぜならば、伝統の体系には、回し蹴りや裏回し蹴り、後ろ回し蹴り等の回転系の稽古が存在しないからです。

ならば、これらは伝統の稽古体系にこだわらずに作り上げることが必要ではないかと思っています。



技術的には、股関節と肩甲骨の操作が重要です。特に股関節の外旋は蹴りには不可欠となります。これなくして蹴りを組手に使うことはできません。

蹴りは、実際に蹴る足よりもむしろ軸足や上半身の使い方が鍵です。
それを忘れずに稽古内容を構築する必要があります。


以前のJKFanは、これを表紙にし特集で取り上げていました。
この2枚の表紙共に、軸足股関節の外旋がきれいにできていますね。この2枚に限らず、当時のJKFanの表紙を飾る選手たちの蹴りは、きれいに股関節と肩甲骨が使われていたんです。

写真(上)は、二女が表紙になった時のものですが、50㎝高く蹴れるなんていうタイトルで特集を組んでいました。二女はこの時、身長が140㎝ちょうどでしたが、180㎝以上の高さを蹴れました。

写真(下)は、振り子蹴法&内臓で蹴れ!というタイトルでした。当時は永田一彦先生が私の技術を理論付してくれて共同で特集を書いていました。

当時のJKFanって凄い高度な内容の特集だったんです。(とはいっても、永田先生の方ですけど)


次回は、この内臓で蹴るについて書いてみようと思います。


隼南

藤井
 抜くとは?
2012年09月25日 (火) | 編集 |
よく、膝を抜くと表現しますが、抜くのは膝だけではありません。股関節・膝・足首を同時に抜きます。

その時に、股関節は前方向から、膝関節は後ろから、足首は前からと、すべて曲がる方向に抜くことが大切です。

特に、膝というと膝小僧をイメージしてしまいますが、空手の場合は膝の裏を意識した方が良いでしょう。前屈立ちの後ろ足のように張るのも膝の裏、抜くのも膝の裏です。

膝を抜いた時に股関節が突っ張ったままだと、うまく前進運動に変換することができません。股関節を前方向から抜くことで状態が安定し、身体全体が何か見えない力に押されるような感覚で、まるで自分の力で動いているのではない感覚が宿ります。

抜きは、始動時に行うだけではありません。極めの時も抜くことが重要です。突きを決める時は、前足を突っ張ってしまうとせっかく前進運動で得たエネルギーを無駄にしてしまいます。

前進のエネルギーをそのまま技に乗せるには、極めの瞬間にやはり前脚の3つの関節を抜いてください。すると不思議なことにブレーキをかけたわけでもないのに、上体がピタッと決まるのです。
実際に、ミットを突いてみると、前足をドンと踏み込んだ突きよりも、前脚関節を抜いた突きの方がはるかに重いことがわかります。


組んで相撲を取っても、脚が突っ張ってしまったら、力負けしてしまいます。逆に脚の力を抜き続けていると、まず押し負けることはなく、どちらに投げられても楽に踏ん張ることができます。



結論として、抜くのは始動時のみでなく、大事な場面では必ず抜くことが大切ではないかと思います。
 スランプ
2012年09月24日 (月) | 編集 |
全少で優勝した選手が直後にスランプに陥ることがよくあります。

自分では、何も変わったつもりはなく、今までと同じように戦っているのに、なぜか勝てなくなる。周囲も本人も「いったいどうしちゃったの?」と、不思議で仕方がない。

私は、そういった多くの事例を観てきたので、勝ち続けるのがどれほど大変なことかよく理解できます。

現在進行形でうちにもいます。昨年と今年の全少は、ある学年は2年連続でうちの生徒が優勝しました。昨年優勝した生徒は、優勝直後に全く勝てなくなり、もう一人がすぐに台頭し、その子が先月の全少で優勝しましたが、その子がやはりその後勝てなくなっているのです。

本人も保護者も、慢心するような人物ではありません。
しかし、何かが変わってしまうのです。

そうなった時に、まず何が必要か? これまで勝ち続けてきた勝因と、その後勝てなくなった敗因を分析すれば、今後どうすれば良いか答えはすぐに出ると思います。


まず、体力的には短期間のことですから変わりはないはずです。問題は、精神面と技術面の変化です。人間は生ものですから技は常に変化しています。これまで通用してきた技がある時を境に通用しなくなった。
今までは楽に届いていた突きが、なぜか届かなくなった等、突然何かが狂い始めるのです。

空手に限らず、すべての競技は突然の狂いで勝てなくなるケースが多いと思います。
言ってみれば、レベルの低い選手にはスランプなどというものは無縁ですから、スランプに悩むのは一流の特権でもあるわけです。
しかし、注目されている立場ですから、これまで以上に精神的にきついのは確かでしょう。


では、その何かを説明してゆきましょう。まず、多くの一流選手には勝ちパターンがあります。そのパターンにはまると必ず勝つ。しかし、まだまだ技術的に未熟な選手はその勝ちパターンは一時的なものでずっと続くわけではありません。
しかし、大舞台でそのパターンが決まれば決まるほど、微妙な修正が効かなくなってきます。そこが第一の落とし穴です。

人間というのは、一番良い時の技や身体の状態をいつまでも覚えています。だから、勝ち続けている時の感覚で調子が落ちた時に戦ってはいけません。

チャレンジジャーでいた時には、必死に無心で戦っていたのが、ある技やある作戦が当たりに当たると、それに頼る傾向が強くなります。それは本当に本人さえも自覚できないほど微妙なものなのです。

例えば、突きからの蹴りが得意で、突きが決まらなければすぐに蹴って1本を獲れる選手が、大舞台で何度も何度も蹴りで得点すると、同じコンビネーションを使っていても無意識のうちに本気で突きでポイントを取りにいかずに、蹴りに頼ってしまう。
これまでは本気で突こうとしているから相手は突きに意識が行って蹴りが決まったのに、突きが本気でなければ相手はそれほど脅威に感じません。

また、経験を積んで技が多彩になることも要注意です。それまでは限られたパターンで必死にやってきたのが、パターンが増えることで本人に余裕が生まれる。その余裕が悪い方向に行くと気の緩みにつながってきます。



ダッキングも近年流行り始めてきました。実はこのダッキングも要注意なのです。ダッキングは相手の突きを楽に避けることができます。それ自体は、悪い事ではないのですが、避けることが楽だから避け続けてしまうことがあります。

すると、相手は何度も自分が先に攻め、相手は避けてくれる。その間、カウンターが来ないから精神的に優位に立ち、攻撃にリズムが生まれ距離も合ってくるという好循環が生じてきます。

実は、うちの生徒がまさにこれで勝てなくなってしまっています。まさか避けるのがうまくなったから勝てなくなったなんて、本人は夢にも思わないでしょう。
しかし、私は「以前なら、ここは避けるだけでなくカウンターを狙いにいっていたな」と感じました。これは相手の気持ちになって考えればすぐに分かることです。

ただ、ダッキングそのものが悪いわけではないのです。要は使い方なのです。例えば、自分よりも格上の選手と対戦し、とてもまともに戦って勝てる可能性はほとんどない場合、ダッキングで攻撃を避け続けるのも一つの手です。これまでは楽にポイントを取ってきたのに、自分の攻撃がかわされているうちに、距離とタイミングが狂ってしまい、まったくポイントが取れなくなってしまうことがあります。


では、スランプに陥った時にはどうすればいいのでしょうか?私は世で言われているとおり、一度原点に立ち戻って考えることが最重要だと思います。

今まで勝ってきた延長でものを考えても、答えは見つかりません。最も良い時のイメージで今後を考えることは必要ありません。
それよりも、一度自分のスタイルをリセットして作り直すことが必要だと思います。

蹴りが得意な選手は蹴りを封印する。ダッキングが多くなってきたらダッキングを一切しない。刻み突きが得意な選手は、刻み突きを封印する。

最も必要なことは、技の一つ一つをこれまで以上に磨くことを心掛けるべきではないでしょうか。技自体を一段ランクアップさせるようひたすら基本を行う。

月並みになってしまいますが、やはり基本に立ち戻ることが確実にスランプを脱する方法だと思います。



また、勝ち続けている時は指導者が変えたくても変えることはできませんが、負けた時こそ自分を変える大きなチャンスです。だから、負けた時に落ち込んでモチベーションの下がる選手はダメなのです。

負けた時にこそ必死に、しかも地道に努力を続けるかどうかで、再び頂点に立てるか、このまま転落するかの分かれ目になるはずです。


しかし、小中学生のうちは、自分を追い詰めないよう気楽にやることが大事でもあります。勝っても負けても深刻にならないことが一番だと思います。
 最速の動きは…
2012年09月22日 (土) | 編集 |
最速の動きは、無駄な力を極力抜くことです。

前回の記事で、初動について書きましたが、前進するときに後ろ足で床を蹴らずに、前足を抜くと書きました。
すると、初動時に両手が前に出るので、相手を呼び込むことなく、気配も消すことができます。

これを手っ取り早く身に付けるには、一週間何も食べず、倒れる寸前の状態をイメージすると良いでしょう。
空腹で倒れる瞬間に、「助けて!」と、両手を前に差し出すのです。

これが最速最強の突きです。

では、後退するときはどうするかというと、腰を抜かせばいいのです。
お化けが突然目の前に現れ、「ヒェ~!」と腰を抜かします。

実際に後ろに倒れてはいけませんが、骨盤を後傾させれば早く重心移動ができます。


それでは、横に移動するときはどうでしょう?

「おじゃまします。」と、両手でふすまを開けるようにしてください。

身体を ( と曲げますが、その時に膝を進行方向に崩し、すぐに上体を膝に乗せて運びます。


まとめると、

前進は、「助けて!」
後退は、「ヒェ~!」
横には、「おじゃまします。」

のイメージです。

このイメージ通りに動ければ、最速最強、しかも気配を消すと一石三鳥の動きを身に付けることが出きるでしょう。
 初動について
2012年09月21日 (金) | 編集 |
昨日に引き続き初動の話です。

動き始めに後ろ足で床を蹴って前進するのと、前脚を抜いて重心移動で前進するのでは、上半身の使い方も異なってきます。

後足を蹴ると、片方の腕を伸ばし、もう片方は引くのが自然です。つまり、左足前で立っている時、後ろ足である右足で床を蹴ると、右手は突きになり左手は引き手を取る。または、左手で突き、右手は引き手を取る、となります。

一見、これは自然な動作のように思えます。しかし、私は初動時に片方の手を引くと、引いた手で相手を呼び込むような結果になることを危惧します。
つまり、片方の手で「いらっしゃい」としてしまうということです。

これが、前脚を抜いて重心移動で前進すると、片方の手を引くよりも、両手を前に出すほうが自然な動きになります。これは、まさに身体全部が前進をするということであり、両手が同時に前に伸びるとどちらでも突けるし、どちらでも受けることができる。
ということは、相手はどちらの手で突いてくるのか直前までわからないということになります。

この前脚を抜いて重心移動で間を詰める方法は、高速上段突きの代表的身体操作です。フッと軽く動き始めますが、そこから急加速するので、相手にとって目測が狂います。

もちろん、突く時にもう片方の手は引いても構いません。ただ、後足で床を蹴ると最初から引き手を取るのに対し、前脚を抜くと初動時は両手を前に出して前進し、その後に突くので相手は受けのタイミングが遅れます。


これを体感するには、両手にチューブを持って後方から引っ張られた状態で行ってみると分かると思います。うまく行くと、本当に抜くだけで身体全体が勝手に飛んでいく感覚になります。
まあ、これも何も不思議なことでもなんでもなく、抜くことによる落下で伸張反射によって、床を強く推しているにすぎません。

だから、脱力とはいっても実際には効果的な筋力の使い方なわけです。



もう一つ、前脚を抜く時のこつを教えると、抜く瞬間に鼻で息を吸うとより効果的に間を詰めることができます。でもこの場合、逆腹式呼吸をしっかり身に付けておかないと、本当に力が抜けてしまい、動けなくなるでしょう。
 初動は前屈立ちを参考に
2012年09月20日 (木) | 編集 |
よく、カウンターをもらう選手は、次の傾向があります。

1、攻める瞬間にガードが開く。
2、突く前に一瞬早く、反対側の手を引いている。
3、床を後ろ足で蹴っている。

だいたい、これらの一つか、あるいは全部当てはまっている選手は、カウンターの餌食になっています。

今回は、ガードの事は置いといて、3の床を蹴ることについて書いてみます。なぜ、床を蹴るとカウンターをもらいやすくなるのかということです。

結論は、力むからです。「力み」は、自分の技が出る前に気が飛びます。その気で技を出す前に相手に分かってしまうのです。

ですから、よく帯やチューブで負荷をかけて後ろから引っ張られながら前進の練習をしたり、人を押しながら前進する時は、要注意だと思います。
そのトレーニングそのものが悪いというわけではありません。トレーニングの仕方自体に注意が必要だということです。

これを負荷をかけすぎて力んでトレーニングをすると、「スピードはつきました、でも試合は負けるようになりました。」なんてことにもなりかねません。

あくまでも、力まずに素早く踏み込むことを心掛けなければなりません。


そこで、大いに参考になるのが前屈立ちの移動です。ご存知のように前屈立ちは、後ろ足を張っています。張っているということは、これ以上伸びないということです。つまり、前屈立ちでは床を強く蹴れないということなのです。
床を強く蹴るから脚を張っているのではなく、張っているから強く蹴れない。こう考えれば、自ずと答えは出てきます。
なぜ、前脚は足首・膝・股関節を曲げているかという点です。抜くから曲げているわけです。ですから、初動の時点で後足で床を蹴らず、前脚の関節を抜けば、勝手に重心は前に移動するので、その時に後足は蹴らずに寄せれば良いのです。

そうすれば、勝手に身体全体が前進します。よく、自分が地面を蹴るのではなく、背中を押されるような感覚と言われるのは、このような使い方が高レベルに仕上がった状態だと思います。自分は力を抜いているが、抜くことで重心が瞬時に移動して急加速するので、何か見えない力で背中を押される感覚があるのです。

その見えない力とは、重力です。重力は下に向かって働いていますから、そこからさらに前脚関節を抜くことで急速落下が生じ、その時に、後ろ足がつっかい棒の役目をして、急速落下が前方向への急加速に変わります。

前屈立ちで後ろ足を張っているのは、つっかい棒の役目だと思ってください。


この初動時に関節を抜くことで、気が相手に跳ぶことなく急加速が実現します。負荷をかけて前進することは良いと思いますが、絶対に後足で床を蹴らず、前脚を抜いて行ってください。



その時に、もう一つコツがあります。単に前進するのではなく、相手を持ち上げるように前進すると、相手の気を浮かすことができます。気が浮くと人間というのは、すぐに反応することができないのです。

具体的には、相手の身体全体ではなく自分のへそと相手のへそを意識すればいいでしょう。



私が、随分前にDVDで公開した練習方法ですが、帯やチューブ等で負荷をかけるのではなく、ホームセンター等で1mほどの棒を買います。この棒は、ダンススタジオなどの壁に固定してある太いものです。

2人組になり、この棒を互いの下腹部に当てて両手で持ちます。そして、基立ちになり前脚の関節を抜いて前進すると、相手がフッと浮きます。相手を浮かすには、瞬間的に関節を抜かなければなりません。

この感覚を伴って上段を突くと、面白いように相手が反応せず、突きが決まる確率が格段に上がります。


「初動時の瞬間脱力」これが、相手に反応されずに間を詰めることができるので、カウンターをもらわなくなるコツの一つです。
 場に入れるかどうか?
2012年09月19日 (水) | 編集 |
以前の日記で、2-3で負けるのは、0-5で負けるよりも差が大きいと書きました。昨日の当道場の参加した大会で、まさにそれが証明されてしまったようです。

形で勝つ時は5-0の圧勝、負ける時は2-3の惜敗の選手が驚くほど多かったのです。試合を長女と観ていて、感想がほとんど同じでした。

「極めなければいけないところが弱い」「立ち方が締まっていない」「軸が少しぶれている」


「あれだと、旗は割れるけど負けるな」「技では勝っていると思うけど、負けるかも?」

ほとんど予想は当たっていました。

いつも何百回も言っていることです。それさえできれば、試合は3-2で勝っているのです。「このくらい大丈夫だろう」と軽く考えて、言われても直そうとしない。

しかし、そこで旗1本分の差が出て、その1本が勝敗を分けているのです。


組手も同じでした。いつも攻める時にガードを空けて中段のカウンターをもらっている子は、昨日もカウンターの中段突きで負けていました。それも何度も何度も同じパターンで失点していました。

いつも踏み込みが浅く、「もっと深く踏み込んで」といわれている子は、やはり踏み込みが浅く審判にポイントを取ってもらえませんでした。

練習にいくら注意されても直そうとしないために、それが原因で本番でも負けているのです。


さて、昨日組手の試合でチームメイトや保護者が、「先に攻めろ!」「もっと前に出ろ!」とイライラしながら声援を送っていました。攻めずにモタモタしているうちに先に攻められて失点しているのです。

これに関して、私は思い当たることがありました。

試合の前の週の練習で、「あとは、各自でやってください」と私が指示してもボ~ッとしており、なかなか動かなかったのです。

これは、精神を集中するまでに時間がかかる生徒の特長です。


今回、組手の時にこの弱点が出てしまい、自分のチャンスにもかかわらず攻撃の機会を逸しているのです。
また、集中力が100%に達していない時に攻められるので、簡単に失点してしまいます。


「始めてください」と言われすぐに始める生徒は、すぐ集中するのでポカがありません。
始めるまでに時間がかかる生徒は、自滅する確率が非常に高いのです。


これもセンスといえばセンスです。試合前の練習でも、ボ~ッとして何もしないのと、集中力を維持して休んでいるのでは雲泥の差が生じます。


特に、この傾向は決勝戦に多く出ます。優勝できる選手というのは役者のようなものです。カチンコの音がしたらすぐに場に入れる。こんな選手は、決勝戦の勝率が高いことがわかります。

では、集中力を養うにはどうすれば良いか?結論は月並みになってしまいますが、私生活を律することが最良の方法です。
家でだらしない生活をしている者は、緊張した場面で集中力が低下してしまうからです。
道場では、整列が早いかどうかが一番の判断基準でしょう。整列の遅い生徒は、絶対に強くなれません。


ならば、家で規則正しく生活し役者を目指して演技の練習をしたら、驚くほど集中力が増すかもしれませんね。
 最速の立ち方は四股立ち
2012年09月17日 (月) | 編集 |
例えば、中段突きで飛び込んだ後、日本ではその場に居続けても何も言われません。むしろ、間を切ったら叱られる場合もあります。
あくまでも押し込んでいくようなスタイルがこれまでの主流でした。

しかし、海外ではだいぶ前から、その場に居続けたり、突きの後にさらに間を詰めるのは自殺行為とされています。相手の攻撃が届くところに身を置くのは、リスクが大きすぎるのです。


海外では、ドンと飛び込んだらサッと間を切ることが常識となっていますが、日本人がこれをやろうとすると、間を切れないのです。無理して間を切ろうとするととても遅く、間を切る前に3~4発殴られそうなくらいです。


なぜでしょうか?海外の選手と同じことをすれば同じことができます。しかし、自分では一所懸命真似しようとしても、実際には全く別なことをやっているのです。

それは、数日前の日記にも書いたように、半身に構えて前進後退をしているからです。つまり、日本式の組手は前屈立ちをベースに構成されていますが、海外では四股立ちをベースに組手が構成されているという大きな違いがあります。

よく、日本の選手が海外の選手に触れる事さえ難しいといわれる原因は、この前屈立ちベースがスピードで四股立ちベースに適わないということも原因の一つではないかと思います。

当然、横移動はカニ歩きですが、カニ歩きは四股立ちで行います。


四股立ちという立ち方は、知れば知るほど用途が多いと感心します。
例えば、四股立ちを使って突くと、相手のカウンターを食らわずにかつ、場合によっては前屈よりも遠くを突くことができます。

前屈で飛び込むよりも、四股立ちで飛び込んだ方がステップも素早くカウンターも食らわない。
投げの時は言うに及ばず。

とりわけ、攻撃の後に間を切るのも最も速い立ち方が四股立ちなのです。

四股立ちが最速の理由は、四股立ちであれば常に重心は真中にあることです。前屈立ちは、前足により多く重心がかかります。

これまで競技組手には無縁と思われてきた後屈立ちや四股立ちが実は有益な立ち方だったということは、組手が進化すれば本来の空手の技になるということを証明しているのではないかと思います。
 気を手で断ち切る
2012年09月16日 (日) | 編集 |
構えって、工夫すると面白いですよ。

ただ、自分を守るだけでなく、その都度変えることができればOK!

どう変えるかというと、相手の技の軌道上に手を置いておくと、相手は技を出せなくなります。最初からそこに構えるのもありですが、相手が攻めようと思った瞬間に軌道上に手を置くと、相手は戸惑いながら技を止めます。これって一番精神的にダメージがあるんです。
攻めようと思うのは、行けると思うからですが、「行ける!」と思った直後に「行けない!」となるのですから、調子が狂います。

これができるようになるには、気を感じなければなりません。また、相手の技の軌道を感じなければできません。

では、どう感じるのかというと、感性を磨くしかないと思います。具体的には右脳を鍛えるとこれができるのではないかと思っています。

相手の技が出る前に発する気を、手で断ち切る作業というのが最も相応しい言い方かもしれません。

これができると、本当に相手は全くでが出なくなるのですよ。
 見える「ガード」、見えない「間」
2012年09月14日 (金) | 編集 |
組手で突きを決めた後はどうしますか?

1、その場に居続ける
2、突いた後に相手にくっつく
3、反撃をさせないために、間を切る

稽古を見ていると、どこの道場でも多くの場合は、突きを決めた後にその場に居続ける選手が圧倒的に多いですね。

でも、これってとても危険なことです。相手は両手も両足もあります。自分が先に技を決めてもその場に居続けたら、その後に相手の反撃を食らってしまいます。

ところで、失点で最も多いケースはどのタイミングなのかご存知ですか?これは、自分が攻めようとした瞬間です。攻めようとした瞬間が最も心に隙ができ、相手の攻撃をもらいやすいのです。

ですから、間を詰める時に絶対に防御を忘れず、ガードを空けない。既にこの時点で生徒の9割はガードが空いて相手の反撃をもらいやすい状態になっています。
そして、自分の攻撃の時に相手の攻撃を想定しているか?これも、ほとんどそういう気持ちがないままに攻撃をしているでしょう。
それで、最後に攻撃の後です。ガードをがら空きにしてその場に居続ける生徒がまたまた9割以上。


思うに、これは打ち込みの時に指導者が何百回、何万回と、口を酸っぱくして言い続けなければいけないことだと思います。「やるかやられるか」的なギャンブルは必要ありません。
まず、確実に失点しないこと、そして確実に得点すること。これを徹底すれば良いのだと思います。


それには、間の詰め方を工夫する。決してスピードに頼らずに、スッと入れると良いと思います。自分の間に来たら躊躇なく攻める。攻めた後は殺ぐに間を切る。


以前も書きましたが、組手のこつは2つだけです。相手に反応させないか、山を張らせてそれを外すかです。反応させない動きは、多くあります。床を蹴らない。力まない。おこりを無くす等。

これらは、動きそのものだけでなく、呼吸をコントロールすることで相手に反応させなかったり、山を張らせたりできるのです。

ここまで来ると、組手が面白くなってくると思いますが、要は、間は詰めたり切ったりするだけでなく、間を外すことができれば、相手は一瞬固まってくれますから、楽に得点でき、相手は反撃できないのですからリスクも少なくなります。

また、組手をしていると、流れというものが存在します。これは、バレーボールやバスケット、サッカーの試合を観ているとよく分かります。空手も揺動で、実力が互角の者同士の対戦でも、時には8-0で勝負がついてしまう場合がありますが、これは負けた方が流れに乗れなかった例です。

流れが相手にある時は、焦って攻めたりせずに間を置くことも大切です。私の経験では、相手に完全に流れがある時、通常であれば20秒経つと流れがニュートラルになります。早い時は10秒でニュートラル状態になりますから、そこまで耐えることができれば、今度は流れが自分に来るはずです。

組手の面白さは、この間になるのではないでしょうか? 間を詰める、間を切る、間を外す、間を置く等、間をコントロールすることで組手の幅が大きく広がっていくはずです。


結論は、ガードを空けない等は、実際に目に見えます。自分でも第三者も注意することができます。だから、これを怠っているということは、怠慢だと思います。
しかし、間は実際にはタイミングも兼ねているので、目に見えない部分があります。同じ距離を取っても、そのタイミングによっては良い場合も悪い場合もあるからです。この間を磨くには、自分の状態・相手の状態・空間すべてを瞬時に感じ取る能力を身に付けなければならないので、少々も時間がかかるでしょうね。

でも、空手にはこの見えないものを見る、または感じる能力が大事だと痛感します。
 ステップはエビよりもカニ
2012年09月13日 (木) | 編集 |
二回に渡って、間合いについて書いて来ました。相手からは自分が遠く、自分から相手は近い間合いについてでした。

今回は、ステップについてです。私は過去に出したDVDでステップは主にサイドステップから組手につなげて来ました。理由は、近距離の移動は、前進後退するよりも、サイドステップの方が速いからです。

私が思うに、日本の組手スタイルは正面か半身に構え、前進後退が主のような気がします。
海外では、ほとんどの選手がサイドステップを応用しています。

例えて言えば、剣道とフェンシングの違いです。

近年、日本の選手が海外の選手に触ることも出来ないということを時折聞きますが、体力差よりも根本からステップが異なることが大きいと思います。

近年の競技レベルの飛躍的向上に乗り遅れないためにも、これまでの固定観念を捨てて、全く新しいものに挑戦する覚悟が、指導者と選手には必要ではないでしょうか。

ステップも、エビを捨ててカニを取り入れることが必要だと思います。
空手に関しては、エビよりもカニの方が速いといったところでしょうか?
 間合いのマジック2
2012年09月11日 (火) | 編集 |
前回に続いて間合いのトピックです。

前回、私は外国人選手の間は計ってみると思っていたほど遠くないと書きました。しかし、やはり日本人選手よりは遠いのです。
では、なぜ間合いが遠いのか? おそらくこれを明確に答えることができる人はほとんどいないでしょう。

実は、これも構えに理由があるのです。ある構えを取ると、足を全く動かさなくても相手の突きは届かなくなり、自分の突きは遠くまで届きます。
これは動いても同じで、この「ある構え」から前足を踏み込んで突くと、通常の構えよりも遠くまで突くことができます。
さらに、ツーステップで突いても、この構えからならば通常よりも遠くを突くことができるのです。

その場でも遠くまで突ける。ワンステップでも遠くまで突ける。ツーステップでも遠くまで突けるならば、構えた時の間は遠くても良いわけです。


これを実際にやってみると、腕が伸びて長く見えます。私は現在の日本人選手は決して他の国の選手と比べて手足が短いとは思っていません。
しかし、手足の使い方が短いのは事実でしょう。

では、これまでと同じ構えなのに、必死に手だけ伸ばしても無駄です。ならば、構えを変えて自然に突いても腕が伸びるようにすれば、自ずと遠くから楽に突くことができます。


組手は、「立って有利に、構えて有利に、動いて有利にしておいて、最後に技を決める」ことが必要ではないかと思います。
 間合いのマジック
2012年09月10日 (月) | 編集 |
先週末は、青森県でセミナーを行いました。前回の記事で書いたように、私はここを訪れるのが楽しみで仕方がありません。
もう、今回で7年連続のセミナーとなりました。

当然、セミナーは気合を入れて行いました。その内容の一部を今回紹介しましょう。

間合いとは、単純な距離ではありません。よく、外国人選手は間合いが遠いと言われますが、実際に距離を測ってみると、思ったほど遠くはないのです。

では、なぜ遠いと感じるか?これが私のセミナーのテーマです。なぜかわからなければ永遠に負け続けます。からくりがわかれば対策も練れるし、良いところを真似ることもできます。


間合いの理想は、「自分から相手は近く、相手から自分は遠い」ことだと思います。加えて、「相手は自分の正面に立ち、自分は相手の側面に立つ」ことができれば万全です。

しかし、単に距離を測っただけでは、両者間の距離は同じはずです。でも、空手の技術って凄いなと思うのですが、、立って構えただけで「相手は自分の近くに位置し、自分は相手から遠くに位置する」ことが可能になるのです。

これって、形をそのまま組手に活かせば、幼児でもできてしまうほど簡単なことなのです。


お互い向き合って構えますが、足の位置を変えたりせずに、ただ向き合って立っているだけで相手の突きは届かないのに、自分の突きは届いてしまう。こんな方法があるんです。

で、これを実際にやってみると多くの外国人選手がやっている構えになります。ですから、外国人選手と戦ってみると、実際の距離はさほど遠くないのに、なかなか技が届かないなんてことになるのですよ。


さらに面白ことに、この相手から遠い間合いの構えで立つと、踏み込みが通常よりも20㎝ほど深く踏み込めます。



私は常々、「形をそのまま組手に活かすのが本来の空手です」と力説しています。


今回は特に、「立って構えただけで、自分に有利な間合いにする」「指1本で相手を崩す」等を競技組手に応用したものを行いました。
やはり、形の中だけで行うのではなく、実際の戦いにも競技にも応用できるのが本来の形だと思います。

他に、「まっすぐ踏み込んで線を外す」なんてこともやりました。

文章だけ読んだら、「まるで魔法のようだ!」と思われるかもしれませんが、全部競技に応用できることだし、誰でもからくりがわかればできてしまうことなのです。



中には、幼児や白帯の参加者もいたんですけど、わかったかな? 絶対に理解できなかったでしょうね。でも、「不思議だなぁ~????」って思ってくれただけで良いと思います。

空手って、面白いと思ってくれれば、今後も続けてくれるでしょうから。


思うに、こういう形に継承されているこのような戦闘法を最も理解していないのが日本ではないかと思います。海外では興味を持ってくれればずっと継続してやってくれますから、次に訪問した時にはみんなできるようになっています。

その意味では、日本の指導者も生徒も、常に創意工夫を怠らないようにしないと、競技も伝統技法も空手は外国人に習うなんて時代になってしまうかもしれません。

 ルーツ探し
2012年09月07日 (金) | 編集 |
今晩の稽古終了後、毎年恒例の青森セミナーに車で出発します。最近は、海外に行くよりも日本各地を巡る方が楽しくなりました。

とりわけ、青森は私の好きな土地トップ3、いやほとんどトップです。特に津軽地方は、日本でも特別な土地に感じます。


世界も日本も各地を回ると、そこにいるだけで心地良いという土地があります。
そこの空気を吸っているだけで、土を踏んでいるだけで気持ち良くなるのです。


ここからは、信じない人はスルーしていただきたいのですが、私が各地を回ってそのような感覚になるのは、決まって縄文文化の栄えたところです。そして、決まってそこの人達とは縁深く良い関係を保つことができます。

おそらく、私が生まれる前から、その土地と人々とは深い縁で結ばれているのでしょう。仕事も空手もプライベートも、その土地の人達とはうまくいくような気がするし、実際にうまく行っています。


世界でもそうなんです。私の場合、特定の国の人間と腐れ縁というか異常に縁深いんです。
外国でいうと、イスラエルとインドなんですよ。

そういえば、当家の家紋である九曜星は起源がインドであると家紋の本で読みました。


話は変わりますが、私はパレスティナ人との交流で、イスラエルの諜報機関から2度調べられたことがあります。もちろん、政治活動やスパイ行為なんてしていませんよ。ただ、空手を指導していただけです。

もし、何かをしていたら、その時に消されていて私は今生きていませんからね。




一説によると、シルクロードの東の果ては奈良の都であり、奈良時代は現在よりも外国人の比率が多かったといいます。


大学卒業後、空手を通じて南極大陸をのぞくすべての大陸を訪れ日本各地を回ってみると、太古の昔から世界規模で人々は行き来しており、縁ある土地を訪れた時に自分のルーツを感じることがあるのではないかと思ったりしています。


因みに、来月はチリに行きます。国を訪れ、土地を踏んだだけでもそこが自分にとってどう関わっているかを知ることができると思います。


そういえば、青森にはキリストの墓、釈迦の墓、ピラミッドがあります。さすがにその人たちが実際に来たとは思いませんが、誰かがその話を伝え、その土地の伝説となったことは事実ではないかと思うのです。


空手を通じて、世界中・日本各地を訪れることができて、自分のルーツを探ることができる。空手にはホントに感謝しています。

という、「トンでも」のお話でした。
 コミュニケーション
2012年09月05日 (水) | 編集 |
人と人とのコミュニケーションの手段は、いろいろあります。もっとも簡単なのが言葉です。それ以外にも、アイコンタクトやジェスチャー直接触れることもあり、この究極が以心伝心となるのでしょう。

私が気になっているのは、最近の子供たちは意思の伝達方法を知らないのではないかということです。自分の考えを相手に知らせることも、相手の考えを自分が知ることもしない。

本来、空手道の稽古は、幼児から一般人まで一緒に汗を流すことができるので、その点では格好のチャンスなわけです。

考えても見てください。野球やサッカーでこれだけの年齢層が一緒に汗を流すことはありますか?

また、先輩は後輩の面倒を見る。黒帯は初心者の面倒を見る。とにかく、自分だけ一所懸命やっていますではダメなのです。
これって、人間形成においてすばらしいことだと思うのです。


で、この他人とのコミュニケーションですが、先輩に後輩を指導させると、話をせずに手を触れてちょこっと治すだけの子が多いですね。直されたほうは、数センチ腕をずらされただけなので理解できないでいます。

また、整列のときも言葉を発せず、先輩が一人一人の手をいちいちつかんで引いていくから、わずか20~30人の生徒が並ぶのに何分もかかってしまう。


もちろん、当道場の黒帯ともなれば、このあたりはきっちりと指導しているので大丈夫ですが、今までは教わる立場だったのが、後輩ができて教える立場になると、黙って教える生徒が多いと感じます。

私は、「できる限り言葉で教えてください」と言っています。それは、言葉が一番明確に伝わるし、教えたほうも自分自身の復習になるからです。

自分の考えていることを言葉で表現できないということは不幸なことです。それを空手を通じて訓練することは、技を覚えると同じくらい重要なことです。


今の子供たちは、子供同士暗くなるまで遊んだり、他人の家にしょっちゅう泊まりに行ったりせず、家でも兄弟が少ないと会話がほとんどないと思います。

そんな環境で育っていくと、言葉で意思の疎通ができなくなることを心配しています。

やはり、親や兄弟以外の多くの人との接触が必要だし、家の中でも会話が必要です。会話のほとんどは仲の良い一部の友達だけなんてことになると、やがて会話よりもメールのほうが多くなり、口よりも親指のほうが頻繁に動いているなんてことになってしまいます。


学校教育もそうです。先生の話を一方的に聞いて、テストの点数のみで成績がつけられるなんて、そんな教育は低次元のものだと思います。
グループ学習や共同作業を多くし、みんなでいい点数を取れるように頑張らせなければ、何のための教育かわかりません。



言葉での意思の疎通は、何も気の利いたことを言い続ける必要はありません。

まず、声に力があるかどうか?声に力があれば、声は相手の耳の奥に入り、脳まで届きます。声に力がないと、声は鼓膜にはじき返され、脳に届きません。それでは、相手にとって単なる音でしかありません。

そして、要点だけを簡潔に言えるかどうか?説明は長いけど、結局何を言いたいのかわからないでは困ります。

空手を通じ校外での活動でそういった社会性を補うことを心がけてゆきたいと思っています。


 審判を敵に回すこともある
2012年09月04日 (火) | 編集 |
空手には、人間性が現れます。性格がそのまま形に投影され、組手に出てきます。

私は、時々生徒に「審判を敵に回しているぞ!」と言う時があります。それは決して態度が悪いから審判に悪い印象を与えているということではないのです。

形でいえば、審判の呼吸と選手の呼吸が合うか合わないかと言う点です。これだけは目に見えないのですが、やはり審判というのは、見やすい形には良い印象を受け、見にくい形には印象を悪くします。

しかし、見やすい見にくいというのは、呼吸が合うか合わないかが大きな要因になっています。例えば、2名同時演武で、片方はすぐ終わってしまい、コートの外で立っている時に、もう片方の選手が間延びをした形をやっていたら、どんなに良い技でも審判は良い印象を持ちません。
では、そんな時にはサッサと早く終わらせればよいのかというとそうではなく、呼吸が合っていれば長い形でも集中力が切れずに見ることができるのです。


組手においても、審判はただ入った技をポイントか反則かを判定している機械ではなく、やはり人間なんです。戦っている両者の間合いや構えを観ています。こんな時、気をつけなければいけないのが、自分の間合いで攻めることが可能でありながら、なかなか攻めない選手には、審判はイライラし無意識のうちに相手に有利な判定をしがちです。

コート全体、いや会場も含めた試合空間全体の流れというものを感じることができれば、今は自分に有利な流れなのか、そうではないのかを感じることができます。

すると、自分に流れがある時に消極的だと、審判も相手の技に目が行くし、流れもいつの間にか相手に移ってしまいます。反対に、流れが相手にあるのに無理して攻めるとドンドンポイントを失ってゆきます。


ですから、自分に流れがある時に技を出せば、自分のポイントになる確率がアップしますが、そこでもたもたしていると、自分のポイントだと思っても、相手にポイントが行く場合が多くなるのです。


皮肉なことに、勝負というのはこういった目に見えないところで大きく左右されるものなのです。陸上競技のようにすべて距離や時間で判定されるのであればこんな心配はいらないのですが、人間が審判で勝敗を判定する場合は、このように敵に回さないことが重要です。

容姿(道着の着こなしや顔の表情)や試合態度等が大切なことは当然ですが、こういった呼吸を合わせる、空気を読むといった見えない部分、感じなければならない部分が、特に空手競技では重要だと思うのです。
 技で勝って競技で負ける
2012年09月03日 (月) | 編集 |
昨日、当道場生が出た大会で、気になることがありました。形の試合で技では明らかに優位にありながら僅差で負ける選手が多かったのです。

身内からの意見としては、「なんで負けなの?」という声もありましたが、私は、「もしかしたら負けもあり得るな」と思って観ていたので、あまり驚きませんでした。


審判は、よほど親しく交流を持っていない限り選手の事を知りません。ですから、知らない選手ほど技以外にも多くの情報を得ようと、顔つきや姿勢、気合等をチェックします。

結局は、初めて見る選手ほど、技以外の印象が勝負を左右する確率が高くなると思っています。


私は、必要以上に顔に力が入ったり、技を大げさにやったり、リズムのないぶつ切りの技は好みませんが、やはりだからといって、普通の顔で普通の気合、すべて普通にやっていては、敵を仮想した形にはなりません。


当道場生を観ていると、基本はできているが今一つ勝負をしている、戦っているという感覚が薄いように感じました。そうなると、目力があり、気合の大きな選手の方に審判の心は動いてしまうのは仕方がありません。

先日も書いたように、「絶対勝つんだ!」という覚悟を持った形と、「とにかく頑張ろう」という気持ちの形を比べれば、少々下手くそでも絶対に勝つという意気込みでコートに入った者の勝ちです。


いくらなんでも、表面だけの演技で鬼瓦のような顔をしたり、気合を入れているふりをして力みまくっているようでは、審判に見透かされてしまいます。
ただ、「こいつはできる!」と審判に思わせるような貫録は必要です。

それを考えると、当道場生は「技で勝って競技で負けた」と言えるのではないかと思うのです。競技で勝つために変に形をアレンジすることは良くありませんが、競技でも評価されるような形を行うにあたり、人間性が顔つきや立ち姿に投影されるようにならないと、頂点に立つのは難しいのではないでしょうか?

そこが当道場の課題だと感じたということは、私の指導がその点で至らなかったということです。
また、私の指導もイチからやり直しです。